「採用難」「採用氷河期」という言葉が昨今言われ始めています。
問題は大きく分けて
- いい人が応募してこない。(エンジニアに関しては応募すらない)
- 内定を出しても断られる。
という問題点があるのではないでしょうか。
ここではその理由を外的要因と内的要因から考えていきたいと思います。
外的要因
外的要因とはマーケットに起因されるものです。
- 採用したい企業が増え、求人倍率が上がり競争が激化
- 今後は少子高齢化もあり、労働力人口減、とくに早い若年層の減少スピード
- 給与増、仕事増による転職市場への流入人口の減少
かなり大まかな内容ですが、単純に市場に中で人材の流通量が減ってきているのと、需要が高止まりしているのが外的要因ではないでしょうか。
内的要因
内的要因とはマーケットへの対策を立てられているかどうかの問題、課題の事です。
求人倍率が上がれば、需要と供給のバランスが「需要>供給」となり、当然、仕入れコストとなる採用費用が上がり、いい人材の獲得はますます困難になります。
にもかかわらず、このマーケットの状況を把握していないという問題点が存在します。
ここからは具体的な課題の話として考えてみます。
採用を難しくしている理由を乱暴に大分類すると
- いい人(欲しい人が)が応募してこない
- 辞退される。
の2つです。
1、いい人(欲しい人が)が応募してこない
応募者の集め方に問題がある
- 採用情報をHPに公開していない、公開情報が少ない
- お金をかけていない、かけられない
- 公開情報の待遇情報が同業他社や、地域の基準より低い
- 紹介会社を業者扱いし、新規を受け付けないなど接点を避け、待ちの姿勢になる
いい人であるかどうかも大事ですが、需給バランスが需要寄りになれば、どうしても市場流通量が減り、そもそも応募すらない事態が発生します。
その中で、情報の量、質で負けてしまうと応募者が増えないという負のスパイラルに陥ります。
お金もかけられないということでハローワークを使って採用活動をされる企業も多いかと思いますが、ハローワークは、
- 掲載企業数が圧倒的に多い。
- 求人票に記入できる求人情報が少ない。
と、見つけられにくい上に、探しにくいと言われており、あまり期待できる採用ツールではなくなっています。
それを補う上で、HPに採用情報が充実しているページがあると、より応募者の応募意欲が沸くのですが簡素なものや、そもそも採用情報がないケースも散見されます。判断できなくて応募スルーされる可能性も非常に高くなってきます。
求人を見て頂いても掲載情報の待遇面に課題がある場合があります。
- 基本給を抑えて、みなし残業のウエイトが高い
- 年間休日が100日以下
- みなし残業代から超過した分を支払うと明記していない
- 交通費の上限が月1万程度
- 試用期間の条件が正社員より低く、試用期間はアルバイト等
弊社が普段転職相談を受けていると上記の条件だと応募、入社を躊躇されるケースが増えています。待遇面の見直しは可能な限り検討いただきたいと思います。
待遇面だけで判断されたくない、すぐに改善はできない場合は、自社情報の魅力をPRできる求人サイトや、人材紹介、自らPRできる転職フェアなどの活用の検討に入れてみてください。アンテナの高い、優秀かつ若い人材は情報の多く集める行動をとりますので求人サイト、人材紹介会社へ登録、イベント参加する流れができていると思います。
そのなかで人材紹介会社は、求人サイトと違い、求職者に会っているというメリットもあり、スペックだけでなく、自社との相性も理解した上での人材を紹介してもらえる可能性がありますし、求職者の動向を聞けるメリットもあります。
求職者と直接接点のある紹介会社をうまく使えるか使えないかも、採用の出来を左右します。せっかくの人材の供給源との接点とつくる時間を惜しんではいませんでしょうか。リアルな情報の提供の場としては転職イベントなども直接求職者に魅力を伝えることができます。
2、選考、入社を辞退される理由
応募者を集めるのも簡単ではなくなってきていると言われている中、なんとか応募者に会えたとしても、面接や、選考の過程で、応募者の気持ちが離れてしまう事もあります。
選考の仕方に問題がある。
- 面接で応募者を見極める事だけに意識が行き過ぎて自社の魅力を伝えてない
- 選考のスピードが遅い、もしくは1回であっさり内定だして有難味が欠けてしまう
- 選ばれる側でもあることを意識せず、一方的に選考して印象を悪くしてしまう
選考基準が厳しすぎる
- 経験ではなく、学歴、転職回数、見た目などを気にしすぎている
- 求めるスペックが高すぎる、スペック合う待遇を提示できない
- 減点主義で面接をしている(志望動機が足りない等)
求めるスペックはあるのに、明確な理由がなく、学歴、転職回数で排除するのはもったいないと思います。最近は力のある方が介護離職などで余儀なく離職、パワハラ等の問題で離職される方が増えています。働き方を柔軟に対応することで経験を活用できるチャンスが増えます。
もう一つは志望動機が響かないという理由で排除するのももったいないで、いい人であれば動機づけを採用する側が行う事で、前に進むチャンスを作ることもできます。
面接で忘れがちなのは、応募者も企業を面接しているという事です。見極めたい気持ちが強すぎで圧迫面接を行う事や、横柄な態度で接してしまい、自分たちが求職者から選ばれる側でもあるという自覚を持ち自社をPRする場であることを忘れないでください。
もう一つの課題は選考に時間をかけすぎると、ライバルに競り負ける可能性が出てくるので、できる限り早く進めることをお勧めします。ただ、1回で決められる場合は1回の面接の時間をじっくり取って、質疑応答にしっかり応え、求職者のことをしっかり見ているというプロセスを踏まないと、あっさりしていて逆に不信感を持たれることになります。
採用もマーケティングが必要な時代
採用を難しくしている理由として、選考基準を高く設定しすぎて合格者が出ない、もしくは自社の給与条件に合わない人材を採用しようとする場合もあります。
走攻守3拍子そろった人材はどこも欲しいですが、すべてないと本当にだめなのか、1人で3役は厳しい場合は1一番の補強ポイントを見極め、3つうち1つできる人を狙えば、対象が増え採用できる可能性が高まります。
もし、走攻守3拍子そろった人材がいた場合は高い給与条件での争奪になるので、自社の基準を度外視した給与条件、勤務体系など相手に合わせて変えるぐらいの覚悟が必要で、現実的ではないと思います。
企業の事業運営同様、採用もマーケティングの世界になりつつあります。求職者に要求するのではなく、自社をどれだけマーケットに合わせて変化することができるかどうかが、今後の採用を左右することになります。