1、採用ニーズを把握する
重要なことは採用予定部署にニーズをしっかりヒアリングを行う事です。
この段階で注意点としては、
- 「自社にいないスーパーマンを求めていないか」
- 「必須条件や、採用基準は正しいのか」
という事があげられます。
転職市場の動向にもよりますが、採用は営業販売なみに競争の原理が働くという事を再認識して下さい。他社との奪い合いであり、応募者から比べられ、選ばれるか選ばれないかの戦いなのです。
極端な事例ですが、ある中小企業の社長が下記の条件で人材募集をしていたらどう思いますか?
【求める能力、実績】
- 大手企業経験者
- 学歴も有名大学出身
- 業界経験は必須
- これから海外を狙う予定の為、TOEIC700点以上
- 転職経験は1回まで
- マネジメント経験5人以上
- 新規事業で成果を上げた経験を持っている人
【給与、待遇】
- 年収は他の社員とのバランスもあるので、30歳で400万程度
- 幹部候補なので将来的には1000万くらい行く可能性はあり
- 年間休日は100日程度、隔週土曜日休み、日曜休み
- 入社で役職スタートは規定上難しいので最低1年はメンバーとして配属
【実績】
- 部長の年収は50歳で800万程度
- 取締役で1000万程度
さて、この条件で採用できる可能性はあるのでしょうか?絶対採用できないと言い切る事はできませんが、限りなく0に近いと言わざるを得ません。
この条件から考えるに「新規事業における自社の経験者がいないので、即戦力を外部から登用する」という目的だということですが、条件についてもう一度考えてみてみましょう。
- 学歴、転職回数の条件は本当に絶対でしょうか?
- 規定は絶対変えられないものなのでしょうか?
必須理由が明確でない条件もあると思います。そういった条件をどれだけ削れるかが採用の成否のカギになってきます。自社のポジショニングを意識しながら採用条件を見直すことで、求める人材に近い人を採用できる可能性を高めることができます。
2、求人票の作成
広告媒体を決めていればライターが取材に来て、求人広告が出来上がりますが、そうでない場合はハローワーク向け、人材紹介会社向けの求人票作成を自社でしなければいけないこともあります。
不特定多数に閲覧されるものはあまり詳細な情報を書けないので、オーソドックスのものを作成することになります。
みなし残業の場合は、みなしの時間、金額、超過分は支給するというところまで明記する事など、昨今は対象年齢や給与条件の表記まで、ルールが厳しくなってきているので注意が必要です。
紹介会社に渡す求人票は、仕事内容などは現場の人に書いてもらうなどインフォーマルな情報をより詳しく書くことで、応募者の精度を上げることができるので、可能であれば用意することをお勧めします。
特に経験者が欲しい場合は、専門的な内容の求人票の方が魅力に感じる事もあります。エンジニアの求人票は現場のエンジニアに職務内容や、求めるスペックを書いてもらうのは効果的です。
3、媒体の選定
求める人材のレベルと人数に応じて採用予算を決めていくことになると思います。その中で予算に応じた媒体と選定することになります。上から順に採用コストが高くなる傾向があります。
- ハローワーク
- 新聞広告
- フリーペーパー
- WEB求人広告
- 転職フェア
- 人材紹介
- ヘッドハンティング
今はやりのダイレクトリクルーティングを強化すべく、紹介報酬を社員に支払い応募者を見込む方法もあります。上記以外にも採用に関しても様々な手法がありますが、どれを使うかは最初の採用ニーズの把握が重要になります。
ハイスペック人材をハローワークから、無料で採用しようとしてもさすがに無理が出てきますので。コスト、手間をどう考えるかだと思います。
4、面接官の選定&採用の指導&1次面接
配属先の上司が面接をされることも多いと思いますが、できるだけ所属予定先の方と触れる機会を作ることをおすすめします。
ただ、所属長も面接することが多くなっているとはいえ、面接が本職ではありません。応募者の仕事内容からできるか、できないかを判断することはできても、応募者の動機づけまでは慣れていない方が多いと思います。
応募者も企業を選びに来ているという事を認識して面接をすることが重要です。
相手の経歴、ニーズをしっかりヒアリングして、応募者に関心を持っていることをPRし、応募者の経験値で自社のこの部分で活用できそうだと、応募者に伝えることで仕事への理解度が高まり入社意欲を高めることができます。
最終役員面接の合否の有無は、入社に迷いがあるかどうかが重要なので、応募者の選別だけでなく、応募意欲の喚起に協力してもらえるような体制作りが重要です。
5、最終面接
社長や、取締役の方がされることが多いと思いますが、経営陣の目線と現場の目線をどこまで合わせられているかが重要です。求人票作成の段階から経営陣の以降で、現場の意向がすり合わせできているといいのですが、どちらか一方だけだと1次選考が通過しない、最終が通過しないという問題に直面することがあります。
役職者採用においては経営者との相性の問題もあるので、最終で合格しない事はあります。相性はなかなかマッチングが難しいですが、スペックなどのすり合わせをできるだけしておくといいでしょう。
6、内定
労働条件通知所を作成し書面で必要事項をしっかり明示し、伝えます。
- 労働契約の期間(正社員であれば無期限)
- 就業場所と従事する業務の内容
- 始業及び終業の時刻、所定時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇
- 賃金の決定、計算、支払いの方法、締切日、支払時期、昇給の有無
- 解雇の事由を含む退職についての事項
- 試用期間の有無(期間中の条件が試用期間終了後の条件と異なる場合は内容を明記)
上記の内容を最低限書面で伝えなければいけません。
求人広告や、求人票の内容と条件等が違う場合は、理由をしっかり説明し、仮に条件が表記より下がる場合は、上がる条件などわかる範囲を伝えることで理解を得る努力が必要になります。
来てほしい気持ちを伝える場でもあるので、可能な限り面と向かって説明して直接想いを伝えると効果的です。