新年度もいよいよスタート!卒業式に始まり、入学式や入社式の中止が相次ぎ、オリンピックまで延期されるという昨今の状況ですが、皆さんのビジネス環境への影響は如何でしょうか?
さて、その昨今の事情の影響とは無関係ですが、約4年間お世話になったコチラのコラム、今回で終了させていただくことになりました。その今回は、ブランディングで最も大切な「ブランド・アイデンティティ」の構築について進める予定でしたので、節目としては相応しい内容かもしれません。というのも、小生が、実務において企業様のブランディング支援を手掛ける際、ファーストステージ(戦略ステージ)の成果物として、位置付けているのが、この「ブランド・アイデンティティ」なのです。
ブランディングのステップについては、前後半に分けられ、前半は戦略ステージとしての「ブランド・アイデンティティ」構築プロセス。後半は、戦術ステージとしての「戦略具体化」、「内外への発信」、「目標設定」というプロセスですと、説明していましたね。
魅せる会社になるためにvol.33 ~何から始める?ブランディング~
それでは、早速、進めて参りましょう!
ブランド・アイデンティティ
「ブランド・アイデンティティ」は、「ポジショニング」によって見出された自社の「独自性」を簡潔な言葉で表現したものです。
自社がブランドとして、ペルソナにどのように認知されたいのかを表す「旗印」となる言葉とも言えます。
資料:©一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会
そして、この発信側が掲げる「ブランド・アイデンティティ」とペルソナが抱く「ブランド・イメージ」を、限りなくイコールに近づける全ての取り組みが、ブランディングなのです。
イメージを掴みやすくするために、有名企業の事例をご紹介してみましょう。
ラグジュアリーなホテルの代表といえば、ザ・リッツ・カールトン。こちらの「ブランド・アイデンティティ」は、
『第二の我が家』
というものです。
えっ?あの豪華な施設が、『第二の我が家』なんて、そんな貴族みたいな生活を送っている人たちなんてどんだけいるの?
という疑問の声も出てきそうですが、リピーターさんが車寄せに停車すると、ドアマンが“おかえりなさい!”と声をかけるという伝説からも、スタッフ全員でブランドを体現していることが窺い知れますね。つまり、カタチある豪華なハードの部分ではなく、カタチのないホスピタリティ溢れたソフトの部分で、『第二の我が家』という「ブランド・アイデンティティ」を体現されているわけです。
ポイントを整理
「ブランド・アイデンティティ」は、所謂キャッチコピーではありませんので、奇をてらった言葉やインパクトのある言葉を選ぶ必要はありません。それよりも、ペルソナが親和性を抱くと同時に、ペルソナと接する社員さんならびにスタッフが、具体的にどのように振る舞えば良いかイメージできることが望まれます。
また、思い浮んだものが、今一つしっくりこないようであれば、一旦「3C」まで戻って、事業環境を俯瞰し、市場機会仮説を再度理解した上で、整合性に問題がないか、検証することも必要でしょう。
そんな整合性に問題を来していると、私的に危惧しているのが、スターバックス・コーヒー。こちらの「ブランド・アイデンティティ」は、
『サードプレイス』
というものです。
「居心地が良く、寛ぐことが出来る、自宅でも職場でもない第3の場所」
という概念は、いち早くWiFi環境を整えたり、小じゃれたソファーなども用意され、美味しいコーヒーを嗜みながら、読書やPC業務に集中できる、すてきな空間を提供してくれていました。しかしながら、近頃は、混雑の中、周りに気を遣うことが出来ない高校生や中高年のお喋りスポットと化してしまった様相で、お世辞にも居心地が良いとは言えない状況です。※あくまで、個人的な見解ですが・・・
そういう意味では、私的にリブランディングに取り組んでいただくことが、待ち望まれるのですが、そこは経営判断に委ねられることですので・・・
ちなみに、リブランディングといえば、小生が取り組む「ブランディング事業」の「ブランド・アイデンティティ」もこんな変遷を(;^ω^)
- 2018年「事業承継を価値に仕立てるパートナー」
- 2019年「経営者目線に基づく課題解決ブランディングの専門家」
- 2020年「未来ある中小企業をブランディングで支える経営課題解決の伴走者」
このように、自社を取り巻く事業環境ならびに自社の成長度合いを鑑み、常に見直しを図ることをオススメいたします。何事もやりっ放しは、ご法度ですからね。
ブランディングを点検
そういう意味では、昨今の事情から、ペルソナのニーズにも変化を来している可能性も高いので、早速点検する必要がありそうです(;^ω^)
何れにしても、優れた「ブランド・アイデンティティ」には、求心力があり、企業の成長の推進力になると確信しています。そう、貴方のブランドの成功は、力強い「ブランド・アイデンティティ」を導き出せるか否かに委ねられていると言っても過言ではありません。
そして繰り返しになりますが、ブランディングとは、
発信側が掲げる「ブランド・アイデンティティ」とペルソナが抱く「ブランド・イメージ」を、限りなくイコールに近づける全ての取り組み
とご理解くださいませ。
ブランディングのステップ、なんとか、ファーストステージ(戦略ステージ)まで、お伝えすることが出来ました。春は出会いと別れの季節、また何処かで皆さんとご縁をいただければ幸いです。
ではでは。