こんにちは。有限会社オフィスパティ キャリアコンサルタント 大山佳子です。「人材不足」という状況は、新たな課題という段階から今後もあたりまえに続くという段階に進み、全ての企業がベースとして考慮すべき「現実」となってきました。これまで経験していない状況で、採用活動を続けていくには、「今まで通り」に囚われることのなく、採用スキルをupdateしておく必要があります。
まずは、現在の採用活動で「あたりまえ」とされていることに関して、確認していきましょう。
良い人材採用のためには母集団形成人数を増やすことが必須?
採用活動の目標として、母集団の具体的人数を目標値設定している採用担当者は多いかと思います。特に新卒採用の場合、一番皆さんが苦労・苦戦している課題かもしれません。そもそもなぜ母集団人数が必要なのでしょうか?
最近、教員採用試験の応募者数の減少が問題になっています。2019年夏に実施された2020年度(2019年度実施)公立学校教員採用試験の1次選考実施状況(教育新聞社調べ)によると、東京都の公立小学校・中学校の倍率は、どちらも1倍台です。質を担保できない「危険水域」となったと、大きく報道されました。
教員免許を取得し、知識としてある程度準備済みであることに加え、教員免許取得に必須であるインターンシップ(教職実習)に約1カ月に言ったうえでの志願者であるために、企業への応募より絞られた母集団ではあるものの、採用する側からは「選択の幅」が狭まった結果のようにも見えます。
同じように、企業での採用活動を考えていくと、採用する側からは「幅広い人材からの選択」となる母集団形成は、大変重要な課題であるとも考えることができそうです。しかし、今後若年人口の減少が続く中、数の確保のみに目を奪われることは問題があります。本来の目標は「適切な母集団」であり、具体的には「必要な人材にできるだけ近い相性の良い人材の確保」となります。どんな人材が必要なのかを精査すると共に、自社で活躍できる人材像を具体的に言語化することが最も必要となるでしょう。
👍update 良い人材採用のためには、自社に必要で活躍できる人物像の言語化が必須。募集ターゲット層を柔軟に広げる。
就職・転職ナビサイトで接点機会を増やす採用を続ける?
中小企業の採用活動では、自社への認知を高めることが最大の課題です。就職・転職ナビサイトを活用することで、大手企業と同じデータベース内に自社の情報を置くことが出来、情報の接点機会を増やす効果につながった経験がある採用担当者もいらっしゃるかもしれません。就職・転職ナビサイトは、大学独自のサイトや自治体のサイト、商工会議所等の企業組合サイト等、多種多様の者が存在しています。
企業にとっても求職者にとっても、どのサイトが一番効果的で、自分の目的に見合うサイトなのか、見極めることは難しくなってきました。試しに「△△県〇〇(業界名)新卒採用情報」「△△県〇〇(事業内容)新卒採用情報」で検索してみてください。自社の採用情報は検索できますか?
特に若者世代は、情報検索にはスマートフォンを使用し、一番上からとりあえず見てみるという行動をとるようです。どんな検索ワードで検索される会社でありたいか、学生気分で検索してみるとヒントが生まれるかもしれません。
👍update スマホ検索で自社募集情報が検索できるかをチェック。探してほしい「検索ワード」にふさわしい情報提供が出来ているかチェック。
大卒人材の安定的採用は今後も目標とすべき?
平成30年度の大学(学部)進学率は53.3%(前年度より0.7ポイント上昇)で過去最高となりました。今後も引き続き、人数は増えていくことが予想されています。大学進学する方が「普通」となるわけですから、今以上に大卒人材を「普通」に採用する必要があるわけです。一方で、大学教育の質に対する懸念も今以上に高まるかもしれません。大卒者=一定の基礎教養を身に着けている という一律的な見方が難しくなり、どの大学を卒業したかより、大学生活の「質」そのものが問われることになりそうです。
また、インターネットを活用した通信制の大学も増えてきました。既に単位制の通信制高等学校への進学は5%と増加傾向であり、不登校生への対応から、多様な学び方の一つの選択肢として選ばれるようになってきました。今後、大学キャンパスに通学するというスタイルも変化していくかもしれません。大学で得られるスキルも多様化しそうです。さらに専門職大学など、専門学校が大学化する動きや、大学が合併するなど、大学そのものの在り方も大きく変化していきそうです。
また、社会人になってから学びなおす環境も整備されそうです。教育環境がどのように変化していくのか、関心を寄せていく必要があるでしょう
👍update 学歴要件の厳格化の意義が薄れていく一方で、多様な学び方が生まれる教育環境への関心を持つ。「学びなおす意欲」への理解を深める。
いかがでしたか?
今後、求職者には「変化への耐性」はますます選考ポイントとして重要度を増しそうです。ということは、採用担当の皆さんの採用スキルのupdataも、きちんと行っておくことがますます求められると思います。ぜひご自身の採用スキルチェックの参考にしていただければと思います。
これからも、必要な時期にマッチした有益情報を発信していきます。お楽しみに!