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社労士ノリコの事件簿⑭~台風などの災害時の会社対応(BCP)~

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「ノリコ先生、台風、たいしたことなくてよかったですね。」

「そうね、名古屋は被害が少なかったけど、長野や関東の方では大変な被害が出ていてお気の毒だわ。
何か力になれるといいんだけど。そういえば、SAWAちゃん、金曜日のディズニーランドはどうだったの?」

「雨が降ったりやんだりでしたけど、それなりに楽しめましたよ。ただ、帰りの東名高速が通行止めになっていたので、名古屋に着くまでずいぶん時間がかかっちゃって。」

「何はともあれ無事に帰ってこれたんだからよかったじゃない。」

「そうよ、無事で何より。それよりお願いしていたお土産は?」

キミちゃんが聞いた。

「はーい、ちゃんと買ってきましたよ。」

先週末は、台風が各地に甚大な被害をもたらし人々の暮らしに大きな爪痕を残した。先週の金曜日に顧問先のA社の伊藤総務部長から災害時の出退勤のルールをどうしたらよいかとの問い合わせがあった。

 

BCPとは?

「ノリコ先生、明日の土曜日は、当社は休日なので出勤する者はいませんが、また、いつ何時、台風や地震が発生するかわかりません。当社では、従業員がそういう場合にどうするかのルールが決まっていないんですが。」

「そうですね、BCPについて、きちんと計画を立てておく必要がありますね。」

「BCPって何ですか?」

「ビジネス・コンティニュー・プランの略で、『企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画』のことです。」

「そうなんですね。でも、ノリコ先生、これって先生の仕事ですか?」

「伊藤部長、BCP自体は、私ども社労士が直接にその策定にかかわることは多くありませんが、BCPを受けて従業員がどう行動するのか、出勤はどうするのかというのは、就業規則の服務規定や安全衛生の規定、そのほか内規などに定めることがあります。そういう意味では、企業のBCPにかかわることは我々社労士の仕事でもあります。」

「そうですか。では、まず、台風についてどのような内容で取り決めておいたらよいでしょうか?」

「全体的なBCP像は、御社でプロジェクトチームを編成して作成することが大切だと思います。しかし、今回の台風のような個別のケースであれば、『出退勤に関するルール』として、就業規則とは別に内規として設けておいてもよいでしょうね。」

「具体的には何を決めたらいいでしょう?」

「まずは、従業員の安全を確保するために、どのようなときに出勤をさせないのか、どうなったら早めに退社させるのか、その場合の費用や賃金をどうするのかなどを取り決めておく必要があります。例えば、各種警報により公共交通機関が運行を中止したり、計画運休したりすることがあります。この場合、平素、公共交通機関を利用して通勤している従業員は、出勤できないことになります。この場合に、自家用車で通勤が可能であれば、出勤を促すこともできますが、安全を確保することが第一ですので、状況をよく見極めたうえで指示を出すべきです。」

「安全第一はわかるのですが、仕事に支障をきたしてしまいませんかね。」

「確かにそれはありますね。しかし、企業には従業員の安全を確保する安全配慮義務が労働契約法第5条に定められています。従って、業務を優先するか安全確保を優先するかは、企業の存立にかかわる重大な事案です。そのためにも、企業としてきちんとBCPの中で取り決めておく必要がありますね。また、就業中に暴風警報や大雨洪水警報が発令された場合に、帰宅を命ずることがありますが、この場合も安全に帰宅できる手段とルートが確保できるかが重要です。やみくもに帰宅させても事故につながることがありますので、会社近隣のホテルなどに宿泊させることも検討する必要があります。」

「その場合の交通費や宿泊費はどうなるのですか?」

「原則は、本人負担となりますが、会社の規定などで会社負担とすることも可能です。無理をさせないためにも会社負担とすることが望ましいですね。」

「給料はどうなるのでしょうか?」

「仕事を中断させて帰宅させたり、出勤をさせないのでその時間に対する賃金は発生しません。」

「でも、休業手当を支払わなければならないのではないですか?」

「労働基準法第26条に定める休業手当は、事業主の都合により休業させた場合は、少なくとも平均賃金の60%以上の休業手当を支給することとなっています。しかし、台風などの自然災害の場合は、事業主都合ではありませんので休業手当の支払い義務はありません。」

 

インフルエンザなどの病気に関しては?

「そうですか。話は変わりますが、休業手当といえば、インフルエンザで1週間ぐらい休みますがその場合の休業手当はどうなんでしょうか?」

「インフルエンザにり患して出勤できない場合は、通常、従業員にも会社にもその責任はありません。こういった場合には、休業手当の支払い義務はありません。ただし、医師から出勤しないように指示された期間を超えて、つまり、治った後に会社が出勤を控えるように指示した場合は、会社都合による休業となり、休業手当の支払いが必要となります。まれなケースですが、老人の介護や医療に従事するような場合には、慎重を期してこのようなことがあり得ます。」

「そうですか、わかりました。では、当社においても、とりあえず、台風や大雨の時の出退勤のルール作りを始めたいと思います。ノリコ先生、ご指導いただけますか?」

「もちろんお手伝いさせていただきます。併せて、社長にBCPの策定に取り掛かるようご案内ください。」

「そうですね、会社全体で取り組んでみます。」

 

「アレッ、そういえば所長は?」

SAWAちゃんが辺りを見回しながら言った。

「そういえば姿が見えないわね。」

のりちゃんが答える。

「朝からなんだかそわそわしてどこかに出かけましたよ。」

キミちゃんが言った。

「今日は、1日留守にしてくれると助かるわ、居ると本当にうるさいんだから。ねえ、ノリコ先生。」

のりちゃんに大きくうなずく私であった。

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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