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社労士ノリコの事件簿⑬~派遣法の改正について~

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「ウワーッ、大きなニジマスの塩焼き!美味しそう!」

「この琵琶マスのお刺身もおいしいわね。」

今日は、事務所の日帰り慰安旅行。所員5名で滋賀県の醒ヶ井で昼食をとっているところ。

「この甘露煮が美味しいんだよ。」

所長は、自慢げにニジマスの甘露煮を食べている。

「所長が釣ったわけじゃないでしょ。ここの調理の仕方がいいから美味しいんですよ。」

のりちゃんにピシャリと言われ、黙り込んでしまった。自分たちで釣り堀でニジマスを釣り上げそれを焼いて食べるシステムなのだが、誰でも釣れるはずなのに所長一人全く釣れなかったのだ。

「所長、釣りが趣味だって言ってませんでしたっけ?」

SAWAちゃんが追い打ちをかけるように言った。

「まあまあ、たまには、そういうこともありますよね。気を落とさないでくさいね。」

貴美ちゃんが優しく言葉をかけた。

 

紹介予定派遣という制度

「ノリコ先生、求人を出しているんですがなかなか人が採用できなくて困ってるんですよ。」

「そうですね、今は飲食やサービス業をはじめ製造業も人手不足ですね。ハローワークや求人情報サイトに求人を出していらっしゃいますか?」

「ええ、もちろん。しかし、応募が全くないんですよ。」

顧問先のT社は、金型の製造をメインとする製造業である。未だに人手に頼る部分が多く、オートメーション化は進んでいない。熟練の技術者には、仕事が集中し残業時間も多く有給休暇もなかなか取得できていない。

「飯田部長、中小企業の多くは、大企業と比較して自社情報の発信がほぼできていません。そんな状況での求人は難しいですよね。一つの方法として、職業紹介を利用されるのも手ですよ。」

「職業紹介ですか?うーん、紹介料が高いと聞きますがどうなんでしょう?」

「そうですね、確かに高額ではあります。IT系の技術者などは、非常に高額になると聞いています。でも、平均的な紹介料は、年収の3割程度のようです。仮に年収が400万円の従業員を紹介してもらうと、およそ120万円の紹介料が発生しますね。」

「いやー、うちではそんなに出せませんよ。」

「そうですね、確かにこれでも高いですよね。しかし、飯田部長、求人誌や情報サイトに何十万円かけて掲載しても応募がゼロであれば、それももったいないことです。」

「うん、言われてみればそうですね。しかし、紹介された人材が必ずしも当社の望む人材とは限りませんよね。それに、入社してすぐ辞められでもしたら目も当てられません。」

「一定期間内に、労働者の事情で退職した場合には、紹介料の返還制度がある場合がほとんどです。それから、自社に合う人材かどうかを見極めるために紹介予定派遣というのもあります。紹介予定派遣は、6ヶ月以内の期間を定めて、まず、派遣労働者として働いてもらい、適性を見極め、自社に合うとか能力があると認められた場合に、直接雇用に移行する制度です。」

「紹介予定派遣ですか、それは良さそうですね。今、当社では派遣会社から派遣労働者を受け入れていますが、そこに紹介予定派遣のことを聞いてみればいいですね。」

「はい、ただし、派遣会社が労働者派遣の許可しかなく、有料職業紹介業の許可を持っていない場合は、紹介予定派遣はできませんのでご注意ください。」

「ノリコ先生、それと、来年から同一労働同一賃金がスタートしますが、当社では、多くの派遣社員を受け入れています。派遣社員についても、同一労働同一賃金が適用されるのですよね?」

「そうです。ざっくばらんに言うと、派遣労働者の処遇改善を目的として、基本的に派遣先の社員と同一の職務を行う場合には、社員と同一賃金とすることが求められます。」

「同一賃金と言っても、派遣先の我々としては何をすればよいのですか?」

「来年施行の改正派遣法は、原則として派遣契約の締結の際に派遣先企業の同一の業務を行う社員の賃金額を派遣先に通知しなければ、派遣契約を締結することができないとしています。つまり、貴社の従業員の賃金を派遣会社に伝えなければなりません。」

「エーッ、そうなんですか?それは困るな。賃金情報は重要な企業機密ですよ。」

「ええ、そうですね。改正派遣法では、この均衡・均等方式または労使協定方式のいずれかにより派遣契約を締結しなければならないとされています。均等・均衡方式では、同一の職務内容や人材活用の仕組みが同じであれば、賃金や賞与などについて『不合理と認められる相違をもうけてはならない』とされます。つまり、正社員の賃金を派遣会社に伝えなければ、派遣労働者に同一の処遇ができないからです。この均衡・均等方式とは、『均等待遇』と『均衡待遇』の考えに基づき、処遇に差異をもうけることが不合理なのかどうかを判断します。

『均等待遇』というのは、派遣社員の職務内容(業務の内容および業務に伴う責任の程度)、人材活用の仕組み(配置転換、転勤など)が正社員と同様であれば、賃金や賞与などについて不合理な差違を設けてはならないというものです。つまり、派遣社員であっても正社員と全く同じ仕事内容で、配置転換などもある場合には、賃金や賞与などについて、同一の待遇にする必要があるのです。『均衡待遇』というのは、職務内容、その他諸々の事情を勘案して、正社員と同様の働き方であると認められる場合には、同一の処遇にする必要があるというものです。

『均等待遇』と『均衡待遇』の違いは、その他の事情を要素としているかどうかです。」

「これは、派遣労働者を使うのは難しいな。それでは、労使協定方式というのはどういうものですか?」

「労使協定方式は、派遣会社が、派遣労働者に対して、適切な人事評価を実施し、それに基づき賃金が決定されることを前提として、厚生労働省が公表する職種別の平均的な賃金額をベースに派遣労働者の賃金を決定することを労使で協定を締結しておいた場合に、派遣先の賃金情報を聞かなくとも派遣契約を締結できるものです。」

「それでしたら、問題はありませんね。」

「そうですね、派遣会社の多くは、この労使協定方式を導入すると思われます。いずれにせよ、派遣労働者の賃金は全体としてアップすることが予想されますので、派遣料金自体もアップしますね。受け入れ先にとってはコストアップになるので慎重に検討する必要があると思いますよ。」

「わかりました、人手に頼る部分をできるだけ自動化するなりして人件費を削減できるように検討します。助成金も活用できますよね。その際は、ノリコ先生よろしくお願いします。」

「承知しました。」

 

仕事が同じであれば同じ対価を

「オオーッ、焼きたてのバームクーヘンがある!美味そうだ、買わねば。」

「所長、すごい行列ですよ。並びますか?」

「そうだ、トイレに行きたかったんだ。悪いが、ノリコ君、代わりにならんでおいてくれないか。」

「もう、人に押しつけて自分は逃げちゃうなんて、後でとっちめてやらなきゃ。」

「ノリコ先生、放っておきましょう。あっちにソフトクリームがあるから食べに行きましょう。」

「そうね。のりちゃん、行こう。」

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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