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社労士ノリコの事件簿⑫~最低賃金上昇とその影響~

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「アーッ、疲れた!お盆休みもいいけれど、あまり長い休みだと却って疲れちゃうわ。」

「そうですね、今年はなんか長い連休が多いですね。」

「そうなのよ、のりちゃんはどこか出かけたんだっけ?」

「ええ、台湾に行って美味しいものを一杯食べてきました。少し、太っちゃったかも。」

「良いなー、私は、友達と会ったりしたけど何となく時間が過ぎちゃった感じ。」

「ノリコ先生、そう言えば、所長がさっきからメガネがないって、探してるんですけど、心当たりありませんか?」

「知らないわ、どうせいつものように自分の頭に乗っかってるんじゃないの。ほっておけばいいわよ。」「そうですよね、そうしよっと。」

「ノリコ先生、今年は最低賃金大きくアップしますね。これじゃあ、ウチのパートの人件費大変なことになるんじゃないかな。」

「そうですね、東京では1,000円を超えますし、愛知県でも926円になりますね。」

「パートの賃金表を見直ししなければなりません。宜しくお願いします。」

「林部長、承知しました。ところで、パートさんの賃金水準を引き上げた場合、御社では正社員の賃金表も改定する必要があると思いますよ。」

「そうか、それもあったな。なにせ、ウチは元々収益力があまり高くないから、大変なことになるよ。」

 

働き方改革と最低賃金

顧問先のA化成は、自動車向けのプラスチック製品を製造している企業である。

4次下請けであり製品単価が低く、価格決定権を持たないため、値下げ圧力が強く、高付加価値製品を持たない。機械化は一定程度進んでいるが、まだまだ人力に頼るところが多い。パートは最低賃金で雇用している者が多く、また、高卒の新規採用時の賃金水準は、基本給が最低賃金をほんの僅か上回る程度である。今回の最低賃金の大幅な引き上げで、パートの賃金表のみならず正社員の賃金表の水準も上方に修正する必要があるのである。

「ノリコ先生、働き方改革で、人手不足の中、休暇を増やし、残業時間を削減しているのに、人件費までアップしてしまっては、ウチは持ちませんよ。何とかなりませんか。」

「林部長、働き方改革は、最終的に生産性の向上を通して、収益力のアップを目指すものです。労働時間の削減は、そのためのきっかけでしかありません。御社はまだまだ設備導入などで効率化は図れると思います。助成金や補助金を活用なさってはいかがですか。」

「そうですね、一度検討してみましょう。ところで、最低賃金って、みんな守らなければいけないことは分かっていますが、どういった性格のものなんですか?」

「それでは、最低賃金について少しご説明しましょう。」

「最低賃金とは、最低賃金法に基づき、雇用主が労働者に支払う賃金の最低額として、国が定めたものです。最低賃金は、時間によって定められており、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の二種類からなります。最低賃金については、毎年審議が行われており、その都度見直される可能性があります。最低賃金の対象となるのは、労働者に支払われる賃金のうち、毎月支払われる基本的な賃金で、最低賃金を計算する場合には、実際に支払われる賃金から、以下の賃金を除外したものを対象とすることになっています。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定の労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(残業代など)
  4. 所定の労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日手当など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜手当など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

また、雇用主が、労働者に対し、最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合、雇用主は、その差額を支払わなくてはなりません。雇用主が、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰金刑に処せられます。」

 

最低賃金を定める理由

「ヘーッ、そうなんですね。でも、何故最低賃金を定める必要があるのでしょう?」

「最低賃金が定められる理由は、最低賃金法の目的に『労働条件の改善を図り、それにより労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争を確保し、あわせて、国民経済の健全な発展』と定められていることによります。つまり、最終的には、我が国の経済の発展のために最低賃金を定めるとしているのです。」

「んー、最低賃金によって自国の経済成長を促すというのは、なんか逆のような気がしますが。」

「これについては、面白い話があります。かつてゴールドマンサックスで金融アナリストをしていたデービッドアトキンソンは、生産性を向上させるためには最低賃金の引き上げが必要であると訴えています。ヨーロッパを中心に最低賃金を引き上げた結果、生産性が向上しているとの結果を引合いに出しています。この理論は、ここでは説明は割愛しますが、最低賃金と生産性の相関関係に着目した考え方です。」

「でも日本では、最低賃金を引き上げることで、それに耐えられない企業が倒産し、失業者が増加するなんて話を聴きますが。」

「そうですね、そういう意見も確かにあります。しかし、今後の日本の生産年齢人口の減少を考えれば、現在の人手不足はなかなか解消されないのではないでしょうか。ただし、必要な人材が採用できず、必要とされない人材は職にありつけないということは起こりうるでしょうね。ただ、1つ言えることは、来年からスタートする同一労働同一賃金の世界では、パートと正社員の格差が縮小することが予想されます。そうすると、最低賃金でしかパートを雇用できない企業にとっては、非常に厳しい状況となることが予想されます。そう言った企業は、淘汰されてしまうのではと危惧されています。」

「そうですよね、そうすると却って日本経済にとってはマイナスでしかないのではないですか?」

「そこで政府は、働き方改革によって、企業の生産性を向上させ、新たな雇用を創出したり、ITCAIの導入により効率化を図ると同時に新たな事業分野の開拓や新製品やサービスの開発等イノベーションにより経済の活性化を図ろうとしています。」

「なんだか難しい話になってきましたね。まあ、何はともあれ、設備の更新などは当社にとっても課題です。それと少しでも無駄を省いて、人件費を吸収できるようにしたいと思います。」

「そうですね、私も御社の業務の見直しに関して職務分析などのツールを使ってお手伝いさせていただきます。林部長、頑張りましょう!」

 

小さな事からコスト削減

「のりちゃん、今度の事務所の食事会だけど、隣の居酒屋を予約しておいてくれないか。」

「所長、今回はお寿司屋さんだったんじゃないですか?」

「いや、それが、この前、巴寿司に行った時に、飲みすぎちゃってね。チョット羽目を外し過ぎて、出入り禁止になっちゃったんだよ。」

「エーッ?そうなんですか?ノリコ先生、今度の食事会ですけど、巴寿司はダメなんですって!所長が出禁になっちゃったみたいですよー。」

「何で、出禁になったの?」

「酔っぱらってお店に迷惑をかけて大将に叱られたみたいですよ。それで、食事会は隣の居酒屋に格下げですって!」

「もうー、みんなお寿司を期待していたのに。所長!ちゃんと大将に謝って予約してきてくださいよ!みんな楽しみにしているんですから!」

「ハイハイ、分かりましたよー。謝ってきますよー。みんな一緒に行ってくれないかなー。」

「甘えるんじゃありません!一人で行ってらっしゃい!」

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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