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社労士ノリコの事件簿⑪~インターンシップで学生を受け入れる時の注意点~

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「ノリコ先生、当社も今年からインターンシップ制度を導入して優秀な学生の採用に繋げたいと思っています。何か注意する点があればご教示願いたいのですが。」

顧問先の人事部長の長澤さんから、こんな問い合わせがあった。彼女は、大変有能な女性で、私より若く、美人である。

アラッ、私ったら、長澤さんと自分を比較してるわ。以前ならそんなこと考えたこともないのに。年を取ったのかしら?そう言えば先日、事務担当のキミちゃんが、「肌が荒れてきて、化粧のノリが悪くなったように感じるんだけど、私も年かしら。」なんて言っていたわ。私なんて、もう何年も化粧のノリはいまいちよ!やだっ、やっぱり比較している。

「ノリコ先生、ボーっとしてどうしたんですか?」

「アラッ、キミちゃん、何でもないの。」

ダメダメ、仕事に専念しましょう!

 

インターンシップの学生に適用される法律は?

「インターンシップをどのように行っていくかの計画はできているのでしょうか?」

「ええ、学生の募集から、実習、レポートの提出、その後のフォローまで一通りのプランはできています。」

「そうですか。実際にはどのような内容なんでしょう?」

「基本的には、社員の仕事を実際に経験してもらうことになっています。当社の中核業務である海産物の輸出入業務に従事してもらいます。座学と実務の両方を経験してもらう予定です。」

「そうすると、現実の業務を行うわけですね?」

「ええ、実際に客先に出向いて商談に同行したり、通関に必要な書類の作成なども行ってもらう予定です。」

「日当は、どの様にお考えですか?」

「あくまでもインターンシップは、優秀な人材の発掘を目的とする就業体験と捉えていますので、通勤に係る実費以外を支払うことは想定していません。」

「そうですか、インターンシップ制度で学生を受け入れる場合に問題となるのは、その学生が『労働者』に該当するか否かです。もし、労働者に該当するのであれば、労働関係法令が適用されることになります。」

「日当を支払う予定はないので、当社のケースでは労働者ではありませんよね?」

「日当の有無が判断基準となるのではありません。実習の内容とその遂行状況により労働者性を判断します。御社の実習での客先における商談ですが、これは、現実問題として学生は同行して商談の場を体験するのみであろうと思います。そうであれば、労働者性が問題になることはないと思います。通関に必要な書類の作成に関しては、社員の指示の下、実際の書類を一部、体験的に作成することとなると思いますが、万一、学生が一から作成し、その間、担当社員が指示を出し、実際にその書類を業務に使用するとなると、実習に本来業務の遂行が組み込まれることとなり、アルバイトなどと同様に労働者として扱う必要が生ずる場合があります。」

「そうなんですね、日当の有無ではないんですね。」

「ええ、確かに日当の支払も労働者性を補充する要素ではあります。ただし、実際に業務をさせているのに日当を支払わないから労働者ではないというのは、通りません。労働基準法や最低賃金法などが適用されますので、注意が必要です。」

「分かりました、その点については、実習担当者と良く打合せをして、法令違反にならないようにいたします。」

 

通勤途中や実習中の事故やケガ、企業秘密などについて

「そうですね。それから、通勤途上や実習中の事故やケガ、御社の企業秘密や社員の個人情報についても漏えい防止の対策を講じておく必要があります。」

「そうか、移動中に交通事故に遭うこともありますね。それから、当社のノウハウや取引先に関する情報が漏えいしては困ります。どんな対策を講ずればよいでしょうか?」

「まず、事故やケガに対しては、労働者であるかそうでないかにより労災保険が適用されるか否かに分かれます。御社が予定している内容であれば労働者性はないと考えられますが、その場合においても、安全配慮義務が課せられると考えるべきです。従って、事故やケガに対しては、民間の傷害保険などを付保することを検討されてはいかがでしょう。ノウハウや情報の漏えいに対しては、誓約書を取ることで対応するケースが一般的です。更に、学生には、賠償責任保険に加入してもらうケースもよくあります。」

「分かりました、傷害保険に加入させること、誓約書を取ることを当社で準備し、学生には賠償責任保険に加入してもらうよう案内します。」

「もう1点、ご注意いただきたいのは、セクハラやパワハラなどのハラスメント行為です。これは、御社の社員の側の問題ですが、事前にハラスメントに対する研修を実施して、全社員にハラスメントを防止する意識付けを再度行っておいた方が良いと思います。」

「そうですね、早急に人事部として研修ができるよう検討してみます。その際には、ノリコ先生に講師をお願いしてよろしいでしょうか?」

「ええ、勿論OKです。今までお話ししたことを実施していただければ、インターンシップ制度での労務トラブルは回避できると思います。ただ、御社の場合、採用を念頭に置いた実習ということですので、出来れば、正式に労働契約を締結し積極的に業務に参加してもらうようにするのも一つの手です。適正な賃金を支払い、労災保険の対象とする。労働者であれば、当然就業規則も適用されますので、情報漏えいやSNS対策の規定により、万一の場合の損害に対する賠償を請求することも可能なケースがあります。」

「うーん、一歩踏み込んだインターンシップね。インターンシップを採用の条件とすることはできないけれど、より学生の能力や意欲を知るには良いかも知れませんね。一度、社長と話し合ってみます。」

 

来週の予定

「おーい、ノリコ君、来週の出張だけど、一緒に行ってくれないか?」

「エーッ、来週ですか?」

「うん、金曜日なんだけど。インターンシップ制度について話をして欲しいと頼まれてね。君、よく勉強しているだろう?」

「はあ、多少は。でも、所長、私来週はスケジュールが目一杯なのでご一緒することはできません。」

「エッ、エーッ?ダメなの?そりゃあ困ったな。なんだか熱が出てきたぞ。こりゃぁ、来週の出張は無理だな。キミちゃん、平成印刷さんに体調が悪いので来週はキャンセルして欲しいと連絡入れておいてくれ。」

「所長、今日は月曜日ですよ。平成印刷さんは来週の金曜日訪問予定ですよ。それなのに、今から、来週の金曜日に体調が悪いと連絡するんですか?」

「いやいや、それはまずいな。何か良い言い訳がないかな?」

「所長、お忙しいのはよくわかりますが、もう少し自覚を持たれたらいかがですか?SAWAちゃんなんか再来月が社労士試験なので、今追い込みで猛勉強中ですよ。少しはご自分の立場をお考え下さい!」

「わかった、わかった。女性もトウがたつとおっかなくなるもんだな。」

何よ、せっかく年のことは忘れていたのに!もう、こうなったら、お肌すべすべにしてやるわ。

「所長、若返りに沢山費用が掛かりますの。ボーナスたっぷりお願いしますね!」

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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