あなたの「ホーム」はどこですか?
安心できて、はたらきやすくて、ベストな仕事ができる。そんな「ホーム」があれば、力を十分に発揮してはたらけるに違いない。
「ホーム」ってなんでしょう?地域のエピソードを参考に、色々な角度から、このテーマを考えてみます。
あなたの「ホーム」には何が必要だと思いますか?
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地理的条件に嘆くよりも・・・
「うちは田舎だからねぇ。交通の便も悪いし、なかなか来ようとは思わないよね」
地方の企業の経営者の方と話していると、こういった言葉をまだまだ耳にします。
「うちは田舎だから」。一理あるのかもしれない。いや、確かに人によっては交通手段が就職の最大のネックということもあるでしょう。
とはいえ、そう言っている方の会社の中を見てみると、実は遠方から通ってでも働いている人もいる。「田舎」だと言われるその場所へ移住してきてまで就職する人もいる。地元出身者でない人の方がイキイキと活躍するエースになっている場合もある。
こうした現実をみると、地理的条件にそこまで卑屈にならなくてもいいのにといつも思います。さらに言えば、「田舎の会社だから、認知度が低いので、人はなかなか採れない」というロジックには少なからず違和感も覚えます。
マイナスを嘆くより、プラスに共感してくれる人と出会う
この半年ほど、ものづくり業界の中小企業に大学生のインターンシップを紹介する機会をいただきました。いくつもの企業とご縁をいただく中で、何人もの経営者の方が、まさに名古屋の都心と離れた立地条件を採用活動における大きなディスアドバンテージだと考えていたのです。
ですが、事業や働き方のお話を聞いてみると、それぞれすごく面白い。規模は小さくても、長年培ってきた職人技と最新の技術を融合させて業績を伸ばしている会社や、お客様のニーズに合わせて常にオーダーメイドの製品を手がける開発型のものづくりができる会社。ちゃんと出会う機会があれば、必ず興味を持つ人はいるはず。
私の知る限りでも、交通の便がそこまで良くない同様の地理的条件で、なおかつ事業や働き方もよく似ている企業でも、若い人材を採用できている企業もあります。チャンスがないわけではないのに、すごくもったいなく感じました。
実際、インターンシップを実施すると、学生さんたちは自分の知らない世界への驚きと、視野を広げて企業を探す大切さに気づいてくれました。さらに、学生さんからは、地理的条件の不利を指摘するよりも、事業や働き方に関する情報をもっと出せば関心を引けると発信の改善への意見がたくさん出されました。やはりポイントは、自社の「プラス」をいかにちゃんと発信できるか。「マイナス」だと思える条件を上手く誤魔化そうとしても仕方のないことです。それよりも、マイナス面を加味しても、プラス面を「良い!」と思ってくれる人との出会いを生むために、前向きに考えるのが大切だと改めて実感しました。
とはいえ、魅力ポイントをただ発信するだけで、出会いがあるかといえばそうではないでしょう。ややもすると、大企業や認知度の高い企業と同じ土俵で戦おうと、メディアやイベントなどにお金をかけるのが大切だと考えてしまうかもしれません。けれど、それが本当にあなたの会社にとって最適な一手でしょうか。
「どんな人に入って欲しいのか」「何人採用したいのか」などの希望に応じて、ターゲットとなる人が使うメディア、集うイベントをきちんと精査することが大切です。出会いのきっかけづくりもどんどん多様化しています。
地理的条件に限らず、自社のマイナス面にばかり目がいっているなら、嘆く前に情報発信の内容と方法を見直してみてはどうでしょうか。