あなたの「ホーム」はどこですか?
安心できて、はたらきやすくて、ベストな仕事ができる。そんな「ホーム」があれば、力を十分に発揮してはたらけるに違いない。
「ホーム」ってなんでしょう?地域のエピソードを参考に、色々な角度から、このテーマを考えてみます。
あなたの「ホーム」には何が必要だと思いますか?
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「ウチの工場…あ、まちがえました!」
とある取材先で、こんな言い間違えをした営業さんがいました。
その方の仕事は、お客様の工場のメンテナンスや改善の提案。工場の清掃から機器のトラブル対応まで日頃から幅広いサポートをしつつ、「こうすればもっと働きやすくなる」と思うことがあればご提案する。最初の言葉で、「ウチの工場」とうっかり言ってしまったのは、お客様の工場だったんです。
「何度も足を運んでいると、お客様の工場なんですけど、働いている人よりも詳しくなっていることもあって。お客様も気づかないところに目がいったりしているんですよね。自分の会社の製造現場かのように愛着も湧いてきて。そういう場所が増えるのは嬉しいなと思って、お取引させていただいています」。
まだ若手の営業さんでしたが、語る姿はとてもイキイキしている。無意識に「ウチの」なんて口にしちゃうのは、お客様に寄り添う姿勢のあらわれだなぁと感じました。
自分のホームだと思えるから踏み込んだ提案ができる
お客様ですから、もちろん線引きは必要。かといって、ビジネスライクなお付き合いだけしていては、一歩踏み込んで面白いお仕事には発展していかない。では、どんな距離感がちょうどいいんだろう。この答え、ベテランの方ならきっとお持ちでしょう。
一方で、若い社員さんを考えると、「ウチ」まさしく自分のホームのようにお客様に愛着を持ってはたらく姿勢は、少し前のめりなくらいに持ってもいいと思うんです。関係づくりは、お仕事をいただく第一歩。というだけでなく、ホームだと思うからこそ、御用聞きの受け身ではなく、自分から「もっと役に立つための種」を探せるもの。
お客様も気づいていなかった課題に目を向け、専門的なノウハウで解決策を示すからこそ、本当に必要とされる信頼関係が築けるのだと思います。お客様「ウチ」ってつい言っちゃえるような人は、仕事のやりがいも大きい。親しみを持つほど、真摯な仕事をしようと意欲も湧いてくるのではないでしょうか。
そして、受け入れてもらえる場所がいくつもあるのは精神衛生上も良い。
- 「飛び込み営業で訪問を始めた会社の社長にすごく可愛がってもらったんです」
- 「入社1年目からお付き合いさせていただいているお客様が、上司みたいに丁寧に教えてくださって。育てていただきました」
こんなエピソードを持っている人たちも、やっぱりお客様を「ウチ」のように感じているんじゃないかな。
みなさんにとってお客様はどのくらいの距離の存在ですか?
ちょっとした言い間違えから、お客様との距離感を考えさせられたお話でした。