売り手市場の今、どんなポジションの採用も一筋縄ではいきませんが、即戦力として活躍できるキャリアを持った人材の採用は、「なかなかいい人が見つからない」ということも多いのではないでしょうか。
さらに、即戦力となるような人材は、まさに引く手あまた。自社を選んでもらうためには、その候補者の立場に立って、とるべきアプローチを考えなければなりません。
では、30代から40代の即戦力となる人材は、一体何を企業に求めているのか。即戦力人材の心に響き、自社を選んでもらうためにはどんなアプローチが効果的なのか。
今回から前後編にわたって、一緒に考えてみませんか?
即戦力として活躍できそうな人材が面接で気にしていることとは?
面接で応募者と接していると、即戦力として活躍する姿が目に浮かぶような人材と、活躍するイメージができない人材とでは、「聞いてくる質問」が全く違うことにお気づきの方も多いと思います。
最近は、インターネットで「面接官に好印象を持たれる質問例」なども出回っているので、少し気の利いた応募者はそれなりの質問を用意してはきますが、入社後、即戦力として活躍してくれるような人材は、業務内容についてかなり具体的に、そして真剣に確認してきます。
たとえば、業務内容に「海外出張あり」というキーワードがあったとしましょう。普通ならば、この点に関して質問をしたとしても、「どれくらいの頻度ですか?」「期間はどれくらいですか?」くらいです。
しかし、即戦力としての活躍がイメージできるような人材は、「出張先での業務はどんな業務ですか?」「現地でのパートナー企業など、ネットワークはどんな状況ですか?」など、「自分が業務を行うイメージで、事前に知っておきたいより具体的な情報」を確認してきます。
転職後に即戦力として活躍できるような人材は、自分の経験や能力がどのような場であれば発揮できるのかがわかっていることがほとんどです。だからこそ、
- 「その企業に、本当に自分の経験や知識を活かせる場があるのか?」
- 「自分のキャリアで、その企業に貢献できるのか?」
- 「自分がやりたいと思っているチャレンジやキャリアアップができるのか?」
を面接で企業に確認し、それを見極めようとしているのです。
その求人情報は即戦力人材の心に響く内容になっている?
つまり、30代から40代の即戦力人材は、そのポジションが、自分の経験や知識、能力を活かせる場であることを求めています。ですので、即戦力となるような人材に「このポジションなら、自分の経験や知識、能力を活かせそうだ」と思ってもらうには、まずは求人情報できちんと情報を伝えていくことが肝心です。
自社HPや転職情報サイトなどに掲載している求人情報では、募集するポジションの仕事内容をできるだけ詳しく、できるだけ具体的に仕事のイメージができるように記載しましょう。
自社の求人情報の仕事内容が、「顧客との折衝」「企画提案」「メンバーのマネジメント業務」など業務内容の羅列になってしまってはいませんか?これでは、具体的な仕事のイメージも、自分の経験が活かせるイメージも、なかなか持ちにくくなってしまい、「仕事内容がよくわからないから、応募しない」という決断をされてしまいます。
しかし、たとえば「顧客との折衝」1つとっても
- 顧客はどんな顧客なのか?(法人あれば、〇〇業界の中小企業の総務部、××エリアの飲食店など)
- どれくらいの顧客担当するのか?(3~5社、20~30社、50社以上、など担当社数で業務スタイルのイメージがつきます)
- 「折衝」とはどんな折衝を行うのか?(料金交渉なのか、サービス改善提案なのか、納品スケジュール等の調整業務なのか)
など、より詳しく説明してあれば、具体的に仕事内容がイメージできるので、即戦力として活躍できるような人材も「これなら、今までの自分の経験が活かせそうだ」と思えるようになります。他にも、マネジメント業務も行うポジションであれば、チーム構成(年齢、メンバーの経験年数など)が記載してあれば、「そのチームならマネジメントできる」と思う人材からの応募が見込めます。
さらに、もし差し支えなければ、その業務や部署が抱えている課題も求人情報に記載しておけば、「自分だったらこう解決する」「今までに同じような課題を、こうやって解決してきた」等のアイデアや成功事例を持った人材が応募してくれる可能性もあるでしょう。
仕事内容によっては、「あまりオープンにはできない」という事情もあるかと思いますが、そうでない場合には、できる限り詳しく、そのポジションの仕事内容や、その業務や部署が抱える課題などを明記するよう、心がけてください。
面接で「評価」を伝えることも忘れずに!
求人情報をしっかり記載するだけでも、随分変わってくるのですが、売り手市場の今は、面接でももう一押し、即戦力人材に対して心に残るような、踏み込んだアプローチをしたいものですよね。
それが、面接で評価を伝えるコミュニケーションになります。
職務経歴としても十分な経験があり、面接でも「この人は、人物・能力的にも問題ないし、ぜひ採用したい」と思えたら、その応募者の経験が募集しているポジションでどのように活かせると思うのか、それをしっかり伝えていきましょう。
企業からも、「このポジションではあなたの経験や知識、能力が活かせると思う」と言ってもらえることで、応募時に抱いていた「このポジションなら、自分の経験が活かせそうだ」という思いが確信となり、それがきっと、心に響くメッセージになるはずです。
「自分が活躍できる場が、入社後にあるのかどうか」は極めて重要なポイントですが、30代から40代の即戦力人材が求めているのは、それだけではありません。次回後編にて、この続きについてご紹介したいと思います。