採用活動では、退職者や休職者の欠員補充などの事情から、「どうしても●月までに採用したい」とできるだけ早く採用したいということもあるでしょう。売り手市場でただでさえ、採用活動がなかなか厳しい状況のなか、現場からの急ぎの採用ニーズに応えるためには、どうしたらいいのか。
今回は、営業職をスピード採用するためのポイントをまとめてみたいと思います。
求人条件を見直す
技術職とは異なり、営業職では「●●の経験・知識・スキルがどうしても必要」という必須条件は、比較的少ないと思います。もちろん営業経験はあったほうがいいですし、即戦力として活躍できるような業界経験があれば望ましいですが、営業経験がなくてもコミュニケーション能力が高ければ、入社後に教育・育成していくことはできないでしょうか。
管理職候補ともなると話は別ですが、一般的に若手営業職は、たとえ未経験であっても職務適性があれば、入社後の教育で業務遂行しやすい職種の1つ。求人背景や、入社後の配属先の状況にもよりますが、短期間での採用を目指すならば、求人条件を見直し、「未経験可」として条件を緩和すると採用ターゲットが広がります。
ただし、だからといって「誰でもいい」わけではないですから、「営業としての経験はなくてもいいけれど、こういう適性がある人がいい」という人物タイプを明らかにし、それを求人条件に明記しておきましょう。
- 新しいことを提案するのが好きな方。
- 行動力がある方。
- チームで働くことに興味がある方。
などその職務で求められる適性を記載しておけば、職種経験はなくても適性の近い人に応募してもらいやすくなります。
選考の関係者に根回ししておく
「面接日程がなかなか決まらない」「面接後、面接担当の現場マネージャーから評価が上がってこない」というのが、選考プロセスに時間がかかってしまうよくある理由です。ですので、そうならないよう配慮しておくことで、選考プロセスを短縮化することができます。
特に営業職の場合、日中の営業活動の合間など他の職種に比べて応募者側の日程調整は格段にしやすいので、社内で面接官を担当する選考プロセスの関係者に根回ししておくと、選考がスムーズに進みやすくなります。
根回しのポイントは、いつまでに採用したいのか、その期日と理由を伝え、
- 面接日程を優先的にスケジュールに入れてほしいこと
- 面接後にそのジャッジを面接当日中(または翌日朝までなど、無理のない範囲の締切を決める)にフィードバックしてほしいこと
などを予め伝えておくこと。これで、選考プロセスの調整業務もしやすくなるでしょう。
求人情報を充実させる
その企業に応募をするかどうか、転職希望者が第一印象を決めるのが求人情報です。
求人情報が充実していて、入社後の仕事内容もイメージできるようなものであればあるほど、転職希望者も興味をもち、応募を検討しやすくなります。そのためにも、短期間で採用を成功させたいときには、ハローワーク、転職情報サイト、自社サイトの採用ページなどの求人情報を確認し、充実させていきましょう。
求人情報の見直しは、時間も手間もかかるように感じるかもしれませんが、転職希望者の目に触れる求人情報の情報が薄い、あるいはあまり魅力的でない情報のままだと、いつまでたっても、ターゲットとする人材に応募してもらえません。
自社の魅力を伝えるのは意外に難しいものですので、どのように表現したらよいかわからない時には、
- 募集している営業職の典型的な1日のスケジュール例
- どんな年齢層の同僚が多いか
- 月の残業時間はどれくらいか
- 目標管理はどのように行っているか
- 新規開拓と既存顧客フォローの割合
- 新規開拓はどのような方法で行っているか
- どんな人材が活躍しているか
- 中途入社して活躍している社員がいれば、その社員の前職の経歴(「それなら自分もできそうだ」と思ってもらい、応募しようと思ってもらえるような事例)
などの切り口から、仕事内容に関する情報を載せていきましょう。
書類選考をなくし応募者全員に会う
過去の採用経験から、「募集をしてもなかなか母集団形成がうまくいかない」「応募してもらえない」という場合には、「書類選考なし。応募者全員と面接します」とするのも1つの方法です。
書類選考がないことで、応募のハードルが下がるので、これによって応募者が増える可能性もあります。ただし、「書類選考なし」の選考に、「ブラック企業で応募者が集まらないからではないか」と不安に感じる転職希望者もいますので、その不安を払拭できるよう、求人情報や自社の採用ページの情報はしっかり充実させておきましょう。
転職エージェントを活用する
採用コスト次第ではありますが、短期間で採用を成功させたいならば、転職エージェントを活用するのは極めて有効です。
自社のことを知らないターゲット層に対してアプローチできますし、もし応募が集まらない場合には、「応募してもらえない理由」も確認できるため、対策を考えることができます。
転職希望者の志向やキャリアを踏まえて、それにどうマッチするのか、自社の採用担当に変わってキャリアアドバイザーが説明しますので、HPの情報や紙面の求人情報よりもわかりやすく転職希望者に自社の情報を届けることもできるでしょう。
自分自身の「スピード化」も忘れずに
ここまで5つのポイントを紹介してきましたが、スピード感をもって採用活動全体を進めていくには、自分自身もスピード対応を心がけることも重要です。
書類選考は早めに結果を伝える、応募者や転職エージェントからの問い合わせには素早く対応する、日程調整はできる限り行う等の行動が、採用活動全体のスピード感に大きく影響しますので、その点も忘れないようにしましょう。