母集団形成から内定までの選考プロセスは、スムーズにいくこともあれば、何カ月もかかってしまうこともあります。売り手市場の今は、母集団形成は厳しいものがありますが、この選考プロセスがあまりにも長くかかってしまうのは、採用活動としてもあまりよい状況とはいえません。
ではなぜ、選考プロセスに時間がかかってしまうかというと、その原因は、主に2つ考えられるのではないかと思います。
1つは応募者がなかなか集まらず、母集団形成に時間がかかってしまうこと。
そしてもう1つは、日程調整や面接官のジャッジ待ちなどで、選考プロセスそのものが長くなってしまうこと。
これらはなかなか難しい問題ではありますが、採用手段を変えたり、事前の段取りを工夫したりすることで、「募集を始めてから内定まで3ヶ月!」というようなスピード決定も現実的に可能になってきます。
そのためには、どうすればよいのか。今回は、特に超売り手市場の技術職について、スピード決定するためのポイントをご紹介させていただきます。
短期間に母集団形成をしたいならば人材紹介会社をフル活用!
母集団形成の問題ですが、これを解消するために活用を検討したいのが人材紹介会社です。
採用手段のなかでは、成功報酬型とはいえ採用コストもかかるので、導入には慎重になる企業も多いかと思いますが、人材紹介会社にはそのメリットが十分にあると私は思っています。
数あるメリットのなかで母集団形成という点にフォーカスするならば、その最大のポイントは、ターゲット層にキャリアコンサルタントという第三者から自社を紹介してもらえることでしょう。これにより、自社に対し興味を持っていなかった層にも、アプローチできる可能性が高くなりますし、ターゲット層のどんな志向に自社がどのようにマッチするのか、採用担当に代わって説明してもらえることもあります。
また、ターゲット層がなかなか応募してくれない時に、
- 「なぜ応募してもらえないのか?」
- 「ターゲット層は、自社の求人に対してどんな反応をしていたのか?」
- 「応募してもらうにはどうすればいいのか?」
など、課題解決に向けた情報を人材紹介会社から得ることもできます。
特に短期間に採用を成功させたい場合には、「応募してもらえない理由」を早い段階で把握し、それを修正していく必要がありますので、これは他の採用手段では得られない、とても貴重な情報といえるでしょう。
ただし、このように人材紹介会社のメリットをフル活用したい場合には、担当者と情報共有をしっかり行ってください。
たとえば、「3ヶ月以内に採用したい」というスケジュールを共有すれば、同じ時間感覚で動いてもらいやすくなりますし、応募者が集まらない場合にもこちらから「応募が集まらないのはなぜか?」「募集が上手くいっている同業他社は何が違うのか?」と質問すれば、軌道修正に必要な情報収集ができます。
人材紹介会社の担当者も多くの企業をクライアントに抱えていますので、必要な情報はこちらから積極的に共有し、質問していくことで、採用をより成功に近づけていきましょう。
ちなみに、母集団形成という点では企業から技術者に声をかける「ダイレクトリクルーティング」もありますが、これは超売り手市場の技術職に興味を持ってもらうアプローチを行うには、相応のノウハウが必要なので、成果を出すまでには少し時間がかかるかもしれません。
社員紹介やSNSなどは、採用コストを抑えながら応募者を集められる可能性もありますので、余裕があれば人材紹介会社を活用するのと同時並行で進めておくとよいでしょう。(但し、超売り手市場の技術職に対してはこれらもすぐに結果が期待できるものではないので、中長期的に戦略的に取り組む必要があります)。
応募喚起の秘訣は、求人情報にあり!
母集団を形成した後は、「応募してもらう」というアクションを起こしてもらう必要がありますが、この時に応募意欲をそそれるかどうかを左右するのが、求人情報です。
特に技術職の募集で、意識したいのが開発環境に関する情報です。これがわかりやすく記載されて、ターゲット層に響きやすい求人情報となりますし、情報が薄ければ応募者は集まりません。
「充実した求人情報」がどのようなものかは、人材紹介会社の担当者に確認すれば、同業他社で応募者が集まる求人情報の「いい事例」を知っているはずですので、積極的に情報収集していきましょう。
スピード決定のためには選考プロセスの段取りをぬかりなく!
さて、次は選考プロセスの問題ですが、これは事前の段取りや社内への根回し次第で、スムーズに進められる可能性を高めることができます。
例えば、募集時に予め1次面接選考日を設定しておく(できれば、現職者も参加しやすい土日が理想です)と、1次面接の日程調整をしなくてよいだけに、ここで数日は選考プロセスが短くなるでしょう。
書類選考も、「応募書類はできれば1日で、返事をもらいたい」と社内の関係者に事前にお願いしておけば、ジャッジを早くもらえるようになります。また同様に、「面接後は翌日朝までに判断し、人事に連絡する」などのルールを事前に決めておくと、「なかなか面接結果がもらえない」ということがなくなります。
いずれもポイントは、選考が本格的に始まる前に、「事前に」依頼しておくということです。
人は何事も、前もって相談してもらったほうが、心の準備もできて快く対応できるもの。選考も、面接が始まってから言われるよりも、事前に選考プロセスのルールを共有し了解を得ておいたほうが、その後の協力が得やすいので、事前に根回ししておきましょう。
本当に早く採用したい場合は面接時間にも配慮を!
また、本当に早く人材を採用したい場合には、朝の早い時間や夜の遅い時間、土日の面接時間や、スカイプでの面接を検討するのも視野に入れておくのも効果的です。
特に、仕事を続けながら転職活動をする技術者は、面接に来るために有給休暇を取る必要があることも少なくありません。その有給休暇がなかなか取れずに、選考プロセスが長引いてしまうのもよくある話です。
そこで、
- 面接してから出勤できるような、午前6時~8時までの時間。
- 終業後に面接会場に行けるような、午後7時~10時までの時間。
- 一次面接はスカイプ面接にする。
- 土日の面接もOKとする。
など面接可能な時間帯を広げると、日程調整がしやすくなり、選考プロセス全体がスピードアップできます。
いずれも「ちょっとしたこと」ですが、採用ではこの「ちょっとしたこと」の積み重ねで、選考プロセスが短縮化できるようになります。導入できそうなことからだけでも、検討してみるのはいかがでしょうか。