こんにちは。採用と人材育成のコンサルティングを行う株式会社アールナインの小松です。
8月に入り、多くの大手企業が2017年卒学生の採用活動を終了しました。実際に株式会社マイナビの調査(2017年卒マイナビ大学生就職内定率調査)をみても、東海地方では6月末時点で65.0%と半数以上の学生が内々定を獲得しています。
しかし
- 「内々定はもらったけど、不満があるので就職活動を続ける」
- 「不満ではないが他の企業もみてみたいので就職活動を続ける」
と答える学生も少なくなく、特に文系学生では「内々定をもらっても就職活動を続行する」と答えた割合が40%を超え、8月以降に就職活動を続ける人も決して少なくないのが現状です。
これからが新卒採用活動の後半戦!という中小企業も多いように、学生にとっても大手企業の採用活動が終わったこの時期は、就職活動の「リスタート」の時期。
ではこの時期に活動をする「リスタート学生」はどんな学生なのか、その特徴をみてみましょう。
①内々定をもらったけど不満がある「他にいいとこあるはず」タイプ
まずはマイナビの調査にもあったように、「内々定はもらったけれど不満があって就職活動を続けているタイプ」です。
このタイプは内々定先の企業の社風や待遇、仕事内容などに納得ができていないため、積極的に「他の企業」を探しています。
少なくとも1社からは内々定をもらっているだけあって、コミュニケーション能力やポテンシャルが高く、さらに「内々定先にはできれば行きたくない」という危機感から、意欲もあります。就職活動後半戦の学生のなかでは、キラリと光る存在かもしれません。
このタイプは、自分のやりたいことが明確だからこそ内々定先に不満なのか、明確でないからこそ不満なのかは人によってわかれますが、「今の内々定先企業には行きたくない」ことだけははっきりしています。
だからこそ人事がしっかりコミュニケーションを取り、学生のやりたいことと自社の方向性が一致していると伝えられれば、他社で内々定をもらうほどの人材を採用することができるでしょう。
②内々定先に不満はないけど他の企業もみてみたい「目移り」タイプ
同じ内々定をもらって就職活動を続けるのでも、こちらは「もっといい会社があったらそこにしようかな」と①のタイプに比べれば切羽詰まっていない、「目移り」しているタイプです。
内々定を持っており、かつその会社に入社したくないほどの不満もないので、就職活動後半戦でどこか余裕を感じる学生がいたら、このタイプかもしれません。
不満がないとはいえ、内々定先企業よりも「もっといいな」と思える企業があったら、そちらに乗り換える気は満々です。
こちらも①のタイプ同様に、学生に合ったアプローチができれば「やっぱりこの会社に就職しよう」と思ってもらえる可能性は大いにあるでしょう。
➂就活のスタートが遅くて内々定をもらえなかった「マイペース」タイプ

さて、ここから先はこの時期まで内々定がもらえなかったタイプです。一口に内々定がもらえなかったと言っても、その背景にはいろいろあります。
まずは就職活動のスタートが遅くて、主要企業の採用時期に準備が間に合わなかったマイペースタイプ。留学などで間に合わなかった、公務員を狙っていたけど試験に落ちてしまったというケースもあります。
さらにこのなかでも、「スタートの遅れを反省して危機感を感じているタイプ」と「まあなんとかなるだろうと思っている、とことんマイペースタイプ」に大きくわかれます。
そもそも就職活動は、企業の採用活動が一定期間に集中するという条件のなかで、どのタイミングで何をしなければならないか、自分でアンテナを貼り、情報収集しながら進めなければならないものです。限られた条件で目標を達成するために、情報収集して行動する。これは仕事の進め方でも極めて重要な基本中の基本です。
どんな理由であれスタートが遅れたということは、この基本ができていなかったということですが、それを反省して危機感を感じている様子が伺えるなら、失敗を糧にし、成長していける素質を持っている人材と言えます。
最初のスタートで失敗しても就職活動の短期間で成長できる人材なら、入社後に大きな戦力になってくれるかもしれません。
④何をしたいかわからず時間が過ぎた「迷子」タイプ
就職活動は、学生にとっては決められた期間内に「自分のやりたいこと」を決めて、それが実現できる企業を選んで応募するという「行動」の連続です。短期間でそれをこなさなければならない現実に、「自分はこれで本当にいいのか?」と途中で立ち止まってしまったり、行動を起こせなかったりする人もいます。
そのため、「何がやりたいのか、何をしていいかわからないうちに、企業の採用活動が終わっていた…」いう学生が一定数います。
➂のタイプと異なり、スケジュールに沿って動いていたものの「どこに向かっていけばいいのか」という目的地がわからなかったため、いわば迷子の状態です。
就職活動は続けてきただけに、周囲の友人が内々定をもらって焦りは感じていますが、「何をしたいか」は就職活動後半戦になってもわからないこともよくあります。
ただしこのタイプの学生は、目的が見えないだけで決して能力が低いわけではありません。
自社の仕事を通じて実現できることや、どんな環境でどんな成長ができるかなどのコミュニケーションを通じて学生が会社に目的を見つけられれば、入社後に大活躍してくれる人材となるかもしれません。
➄自信がない、うまく表現できない「自己表現下手」タイプ
さて、最後のタイプは就職活動を続けてきてはいるものの、自分に自信がなく、うまく自己表現ができていない「自己表現下手タイプ」です。
真面目で一生懸命でも、面接でうまく自分のことを伝えきれていない。そのために、この時点でも就職活動を続けていると言えます。このタイプは面接でのコミュニケーションがあまり上手ではないので、これも一目でわかります。面接に落ち続けてしまい、自信をなくし、元気もないように見えるでしょう。
コミュニケーション能力や自己表現力に問題はありますが、だからといって他の能力にも問題があるとは限りません。もしかしたら与えられた仕事をコツコツとこなす能力に長けているかもしれませんし、実は責任感が強いタイプということもあります。
コミュニケーション能力以外の業務の適性をもっているかどうか?という目でみると、意外にいい人材を採用できるかもしれません。
就職活動後半戦に活動を続けている学生には、このように様々な理由があり、様々な人物タイプがいます。どのタイプであっても、しっかりと学生が今まで活動を続けている理由に耳を傾ければ、この時期だからこそ採用できるような人材を採用できるでしょう。