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社労士ノリコの事件簿③~ユニオンとの団体交渉編~

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「うーん、困ったな。」

「社長、ウチは今まで平穏にやってこれたのに、中野君が入社してから何かと問題が起きますね。」

「社労士のノリコ先生に相談してみるか。」

 

地域ユニオンとの団交

私は、ノリコ、社労士として企業の人事労務に関するアドバイスを主な仕事にしている。

「所長、実は、東大社の海畑社長から、労働組合のことで相談がありました。」

「ンッ、労組?」

「そうなんです。団交の申し入れがあったそうです。」

「あの会社って、労組は無かったんじゃないか?」

「従業員の1人が、地域ユニオンに加入したらしいんです。私、団交に同席を頼まれたんですが。」

「それは、大切な役目を仰せつかったね。では、団交の基本的な注意点を教えよう。」

労働組合は、労働組合法に基づき設立される。会社と交渉をして、労働者の地位の向上や労働環境の改善などを求めることが主な役割。労働組合は、多くは企業別組合で、各企業内にある。その他にユニオンがある。

1つの会社内の労働組合ではなく、地域内の同業種や隣接業種などの労働者が集まって組織している、企業の枠を超えて労働者を組織する労働組合のこと。従って、労働者であれば誰でもユニオンに加入することができる。労働組合には労働三権が保障されている。団結権、団体行動権、団体交渉権である。団体交渉権に基づく交渉が団交である。

会社には、団交に対し誠実交渉義務が課せられる。この誠実交渉義務は、労組の主張を何でも受け入れることではなく、団交に誠実に応じることである。団交に誠実に応じないと、不当労働行為になり、労組の権利を侵害することになる。

そこで、団交に当たっては、以下の点に注意を要する。

  1. 交渉に必要な情報を収集するのに必要な時間を確保できる日程にする
  2. 交渉の場所は、会社内ではなく、公共の施設などを利用する
  3. 社長以外で役員などの地位にある者が交渉する、更に複数人で交渉する
  4. 交の時間を最大2時間程度と事前に労組に伝える
  5. その場で、即決せずに時間をかけて検討する
  6. 出来ないことは、はっきり出来ないと主張する
  7. 労組側の団交の人数を指定しておく
  8. 団交の議題を明確に特定しておく

などである。

これらのことは、団交を必要以上に長引かせない、適切な対応をする、無用のトラブルを避ける為には最低限必要なことである。それから、社労士として一番重要なことは、直接、労組と交渉が出来ないことである。社労士は、団交の場では、会社のアドバイザーであって、代理人ではない。会社に代わって交渉することは、弁護士法で禁止されている。あくまでも、会社の交渉担当者に対するアドバイスが役目である。

「ノリコ君、地域ユニオンも様々だ。本来、労組は法律に基づき適法な組合活動を行うが、最近は、一部で強引な手法で交渉に臨むユニオンもあると聞く。十分、注意をしなさい。」

「分かりました。事前準備をしっかりしておきます。」

そうは言ったものの、実は心中穏やかではない。

「所長、代わりに行ってくださいよ、お願いします。」

・・・、言えないよね、最近忙しそうだもの。

「ヨシッ、女ノリコの実力を見せてやるわ!」

 

団交当日

区民会館の一室で3対3の緊迫した交渉が行われた。ユニオンの代表者は、優しそうな顔をしている。

「これなら何とか、乗り切れそうだわ。そういえば事務主任のノリちゃんが、クレーム対応の仕方を教えてくれたことがあったっけ。相手の言い分を聞いているときに不必要に相槌を打ってはいけなかったんだわ。気を付けなくっちゃ。」

ノリちゃんは、字は違うが、私と同じ名前の「ノリコ」だ。とても気が利く仕事のできる女性で私は、彼女を信頼している。所長は、いつもノリちゃんに叱られてばかり。大抵は、所長がポカをやらかすからだ。

ユニオンは、自分たちの主張を受入れさせようと躍起になった。会社側は、真摯な態度で団交に望んでいたが、簡単には応じない。

「会社のお二人、なかなかやるじゃない。」

ユニオンは、もっと時間を掛けたかったようだが、利用時間が決まっているので、定時には追い出される。

「イヤー、ノリコ先生のアドバイスを受けておいて助かりました。」

総務担当役員の豊臣部長がほっとした表情で話し掛けてきた。後に判ったことだが、このユニオン、相当「強面」のユニオンだったのだ。私自身、怯まないように頑張っていたが、内心、腰が抜けそうなほど怖かった。

「いえいえ、豊臣部長さん逹のお力です。でも、これからも団交は続きます。気を引き締めて行きましょう。」

その後、3回の団交を重ね、ユニオン側の主張の一部について、労働協約を結び、その他については、会社の主張を通し解決した。まぁ、会社にとって、負担のない内容だったので、実質的に円満な解決となった。ただ、今後も、様々な要求が予想される。

「労組のことをもっと勉強しなくちゃ。」

私は、心に誓った。

 

数日後

海畑社長と豊臣部長が事務所を訪れて、感謝の言葉をくださった。

「所長、ノリコ先生には、大変お世話になりました。我が社にとって無くてはならない存在です。」

「そうですか、お役に立てて何よりです。では、来月から顧問料をアップして頂いてもよろしいでしょうか?」

所長は、早速値上げ交渉をしている。所長は、そういうところは目ざとい。

「顧問料アップしたら、私のお給料もアップ、お願いしますよ!」

心の中で叫んだが、あの所長には、届かないだろうなぁ。

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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