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社労士ノリコの事件簿②~副業編~

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「ノリコ先生、大変です!」

ボーっとした頭を覚醒させたのは、SAWAちゃんの切羽詰まった声だった。

「一体、どうしたの?」

SAWAちゃんは、ウチの一番若い事務職員。顧客からの受けも良い。悔しいけど、私より、少しだけ?若い。

「何よ、私の方が、人生経験多いんだからねー!」

声にならない声で呟く。彼女の頑張りには日頃から感謝している。 

「ココの社長から電話で、店長のユミさんが、辞めるって、大変なことになってるそうです。」

ココは、美容室を何店か展開しているクライアントだ。顧問先として何年もお世話になっている。私は、早速社長に電話を入れた。

「社長、ユミさんが退職ですって?何かあったんですか?」

私が尋ねると、社長は、心底困った様子で話し始めた。

「ユミちゃんが、趣味でやっているデザインが何かの賞をとったので、デザインの仕事に専念したいらしいの。」

ユミさんは、トップの売上を誇る店舗の店長で某有名美大卒の異色の美容師だ。店舗運営から採用、労務管理まで、社長は全てをユミさんに頼っている。そんなユミさんが退職してしまうと大打撃を受ける。それは大変だ。退職手続き、新たな人材の採用、入社手続き、色々やるべき事が頭に浮かぶ。

 

ある閃きが

ンーッ、ちょっと待って。いくら賞を取ったからといって、すぐにビジネスに繋がるかなー、と思ったとき、最近、国が推奨している副業がパッと閃いた。

「ノリコ、冴えてるわね。」

私は、ひとりごちた。

「社長、ユミさんに副業を提案されては如何ですか?」

「副業?」

「そう、副業です。いくら賞をとったとは言え、それで食べて行くのは大変ですよ!今の仕事をしながら副業として実績を積んでいく方が確実じゃないでしょうか。」

副業を行うには、大別して2つの方法がある。
1つは、現在の職場で働きながら、フリーランスとして働く方法。もう1つは、別の職場と掛け持ちする方法だ。そこで私は、ユミさんがフリーランスとして副業ができるように就業規則を見直し、会社が副業を認めること、ユミさんに多少の時間の配慮をすることなどを提案した。終業後、自宅で自分の時間を使ってデザインが出来るようにし、ユミさんを会社がサポートするような形にするのだ。

 

問題は? 

「先生、副業なんかさせて、問題が起こらないかしら?」

「そうですね、問題が起こってしまってからでは、遅いので、副業について少しご説明します。ユミさんのケースは、フリーランスですから、そんなに問題はないと思います。何故なら、フリーランスは自営業なので、現在の労働法制の適用は原則ありません。ただ、本業に差し障りが出ると困りますね。労働時間を少し短縮するとか、業務の負担を減らしてあげることで予防できるかと思います。万一、自営業でなく、掛け持ちで務めるようなケースだと労務管理上の問題が発生しますよ。掛け持ちで副業すると、2か所で働くわけですから必然的に労働時間が長くなりがちですが、会社は労働者の健康管理に配慮しなければなりません。

また、本業と副業の労働時間を合計すると、法定労働時間を超えることが多くなりがちです。これによる残業代は、通常、労働契約を後から結んだ企業が負担するんです。なんか理不尽な感じがしますよね。

また、労災保険は、それぞれ本業の勤務先、副業の勤務先の労災保険が適用されますが、本業を終えて副業に行く途中には、副業先の労災保険が適用されます。副業がアルバイト程度で、収入が少ない場合、労災による休業補償は、アルバイトの少ない収入を基に支給されるので、休業補償の額が少なくなってしまうので注意が必要です。」

「そう、わかったわ、とりあえず、フリーランスで副業をしてもらうことで、何年かは退職時期を延ばせそうね。ユミちゃんに話してみるわ。」

結局ユミさんは社長の提案を受け入れ、会社に残りフリーランスとしてデザインもやって行くことにしたそうだ。様々な働き方が模索される今、社労士としては柔軟な思考が求められる。

 

後日オフィスにて

「私も副業しようかしら。」

「所長!これ、約束のケーキじゃありませんよ!」

「アレッ、そうだっけ?」

「季節のフルーツがたっぷり乗ったのを頼んだのにー。」

SAWAちゃんと所長のやり取りに、つい、反応してしまった。

「所長、しっかりしてくれないと、私、他所で副業しますよ!」

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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