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社内不倫 会社としての対応策とは?

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お盆休みは皆さんどのように過ごされましたか?ご家族と楽しい夏の思い出を作られた方も多いのではないでしょうか。いつもお読みいただきありがとうございます、社会保険労務士法人あさひ合同事務所の竹田です。

先月、顧問先から従業員の不倫について相談がありました。過去2年間、有休を取得する日が全く同じで、職場の同僚から不倫ではないかとの噂が持ち上がって、職場の雰囲気が悪化しているのでどうしたら良いかとの内容でした。会社としてはどう対処するのが良いでしょう?

 

不倫の法的位置づけ

不倫の良し悪しについては論じませんが、不倫は法律上「不貞行為」といわれ、不倫相手に対し不倫された夫なり妻は民法上の不法行為責任を問うことができます。例えば妻のある男性が夫のある女性と不倫関係になった場合、男性の妻は、自分の夫と相手の女性の両方に対し不法行為に基づく慰謝料を請求できます。また、女性の夫は、自分の妻と相手の男性に対して同様に慰謝料を請求できます。不倫が原因で離婚沙汰になった場合、不倫の当事者(有責者といいます。)から、離婚を切り出すことはできません。

不倫されて精神的に苦痛を負った妻又は夫からでないと離婚は原則としてできません。いずれにせよ、夫婦関係が破壊される悲惨な状況となることは明らかです。

 

会社が不倫にどのように関与できるのか

顧問先の担当者は、何よりも事実関係を明らかにし、その上で当事者を処分したいとの意向でした。まずは、当事者の男性従業員と女性従業員の双方に話を聴き、ハッキリしないのであれば探偵事務所などに依頼して不倫の事実を掴むとのことでした。その上で、両者に調査結果を突き付けて、不倫をやめさせ、何らかの処分を下すというのです。

ここで、注意を要するのは、不倫は基本的にプライバシーの問題だということです。従業員の個人的生活やプライバシーについて会社が必要以上に立ち入ることは、従業員の人格権を侵害することになります。従って、従業員の不倫問題に会社が立ち入ることは原則としてできません。ただし、職場内で他の労働者が不快に思う行為をしているような場合には、職場秩序や規律を維持するために、上司などが注意をすることは認められます。

そこで、顧問先担当者の意向を2つに分けて考えてみると、探偵事務所などを使って不倫の事実を把握する行為の正当性と不倫を理由として処分を行う適法性の問題があります。探偵事務所などを使って不倫の事実を探る行為は、私的行為の監視や尾行に当たりプライバシー権の侵害になります。プライバシー権の侵害は不法行為となり、損害賠償を求められることにつながります。

次に不倫を理由として従業員を処分することについては、原則、不可であることです。使用者である会社は、労働契約に基づいて、従業員から労務の提供を受ける権利を有し、更に職場の規律を維持する使用者の企業秩序定立・維持権限を有します。これらを根拠とし、これらに反する行為をした従業員に対して処分(懲戒、制裁など)を行い得ます。

しかし不倫の多くは社内ではなくプライベートな時間に社外で男女関係を持つことがほとんどです。今回のケースにおいても、社内では特別な接触はなく、休暇の取得日が全く同じということで、社内で噂になっているにすぎません。つまり、社内の風紀を乱したりするほどの行為は見受けられないため、不倫を理由として従業員を処分することはできません。

この2点について担当者に話をしたところ、「それでは、会社は何もできないのか?どうも納得がいかない。」とのことでした。そこで、人事権の行使による配置転換の可能性についてお話をしました。

今回のようなケースでの不倫を理由として懲戒処分をした場合は、懲戒権の濫用となり、不法行為責任を負うリスクがありますが、人事権の行使として配置転換により今後の不倫を防止することは可能です。ただし、この場合にも、人事権の根拠についての確認は必要です。人事権は、企業が従業員を適材適所に配置する等の権限です。この権限は企業が本来的に有すると考えられますが、現実に行使するに際しては、労働契約や就業規則の規定に従ってなされる必要があります。

労働契約や就業規則に配置転換の規定がない、又は配置転換が慣例として行われていないなどであれば、配置転換を行うことは難しいでしょう。就業規則等に規定のある場合でも、不当な理由で配置転換を行うことは人事権の濫用として認められません。従って、処遇や本人の能力などを考慮したうえで、業務上の必要性や役職に対する任務懈怠などであれば認められると思います。

今回のケースでは、男性社員が監督職であるにもかかわらず、職場秩序の維持という任務を懈怠した訳です。つまり、監督職として相応しくないとの判断による配置転換ならば認められるでしょう。

結局、次の定期異動の際に、今回のことを考慮要素に入れて、総合的に異動の有無を判断することとなりました。このように、社内不倫については、微妙な判断が求められることがあります。

さて、この不倫カップルのその後ですが、男性が奥さんに不倫の事実を知られるに至り、双方の夫婦4名で話し合いが行われました。現在も色々協議中とのことですが、当事者双方ともに家庭崩壊の危機に瀕しており、予断を許さない状況だそうです。担当者には、社内での噂話やいじめにつながらないよう、プライバシーの保護には十分配慮するように伝えました。

火遊びは、家庭や家計を崩壊させるリスクを伴います。従業員にも、それらのリスクを十分に周知させることも必要かもしれません。

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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