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給与における各種手当の今後の動向

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毎日、体温を上回る猛暑が続いていますが、皆様の体調はいかがでしょうか?社会保険労務士法人あさひ合同事務所の竹田です。記録的な暑さで熱中症になる人が激増しています。くれぐれもご注意ください。

さて、今年の6月に最高裁で、2件の労働事件に関する判決が出ました。「ハマキョウレックス事件」と「長澤運輸事件」です。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、今後の賃金の決定について、大きな影響を及ぼす判決と思います。そこで今回は、この2つの事件の判決を踏まえて、給与における各種手当について考えてみたいと思います。

 

各種手当の賃金に占める割合

厚生労働省の調査によると、月例給与の内、約10%が各種手当として支給されています。手当は大きく分けて「職務関連手当」と「生活関連手当」に分けることができます。

「職務関連手当」は、役職手当や精皆勤手当などです。「生活関連手当」は、住宅手当や家族手当、通勤手当などが代表的なものです。約10%の各種手当のうち「職務関連手当」と「生活関連手当」は、それぞれ半分づつの約5%を占めており、平均額としては、両手当の合計で37,000円程度になります。決して小さな額ではありません。

 

2つの事件の判決とは

2つの事件の判決についてその概要を見てみますと、次のことが分かります。契約社員の待遇について争われたハマキョウレックス事件では、労働契約法第20条に定める契約社員に対する「均衡待遇」の必要を認め、有期契約を理由として各種手当の支給につき不合理な相違があったと判断しました。

定年後再雇用社員の待遇について争われた長澤運輸事件では、定年後再雇用社員も有期契約社員であるという前提に立ち、有期契約を理由として賃金などの労働条件に関し不合理な相違の有無を判断しました。このケースでは特に労働契約法第20条の「その他の事情」について言及され、定年後再雇用者に対する処遇について多くの部分で不合理な相違はないと判断されました。

一見、両判決は正反対のように見えますが、そうではなく、有期契約の労働者の処遇について労働契約法第20条に基づき「均衡待遇」を検討するにあたっては、①職務内容 ②人材活用の仕組み ③その他の事情の3点を考慮すべきであると同じ考えに立っています。その上で、両判決は、各種手当についてそれぞれ個別具体的にその趣旨に沿って判断すべきということです。

 

賃金実務に与える影響

2つの判決から言えることは、有期契約の労働者と正社員の処遇の決定にあたって、不合理性を排除するには、その相違について明確に説明できることが条件となることです。働き方改革関連法の成立により、今後同一労働同一賃金が求められる中、実務としては非常に大きなリスクを抱えることになります。

パートタイマーについては、パート労働法で、①職務内容 ②人材活用の仕組み ③その他の事情の3点を考慮し、「均衡待遇」を求めています。「均衡待遇」とは、①職務内容 ②人材活用の仕組み ③その他の事情の3点を考慮し、正社員と同じ働き方をしているのであれば、処遇も同じにするということです。また、パート労働法では、「職務内容が同一」「人材活用の仕組みが同一」の場合には、正社員と同じ処遇にしなければならないという「均等待遇」も求められています。働き方改革関連法の成立に伴いパート労働法も改正され、「パートタイム、有期契約労働法」と改正されます。

有期契約の労働者に対しても、パート同様に「均衡待遇」のみならず「均等待遇」も求められます。現在、パートタイマーや契約社員に正社員と同様の手当てを支給している企業はそう多くはないでしょう。しかし、2つの判決から導き出されるのは、パートや契約社員に手当の支給について正社員と相違がある場合、その相違の不合理性を排除できなければ、企業は手当てを支給しなければならないということです。そうすると企業としては、必然的に、各種手当を廃止するモチベーションが働きます。

 

手当の廃止をする場合の注意点

各種手当の廃止は、労働条件の不利益変更につながるケースが多いと予想されます。単純に手当を廃止してしまっては、給与の減額となりますので、社員は納得しません。

労働契約法では、①労働者の同意 ②合理性のある内容の就業規則の変更により労働条件を変更できるとされています。各種手当を廃止する場合は、①廃止する手当の額を基本給に上乗せする ②廃止した同額を調整手当などの名目で激変緩和措置を講ずるなどにより労働者の同意を得ることが必要となります。これらのことを講じず単に廃止をすると、合理性が有ると認められません。基本給に組み入れる場合に注意を要するのは、退職金が退職時の基本給の何倍といった倍率方式などを採用している場合です。基本給がアップしますので、退職金も増額となります。

手当の廃止に合わせて、退職金の算定方法をポイント方式などに切り替える必要があります。手当の廃止は、上記の他に、社員のモチベーションの低下などの問題もあり、神経を使う問題です。社員との話し合いの場を十分に時間をかけて持ち、労使双方が納得できるような方法を模索することが重要です。

皆さんの会社では、様々な観点から各種手当を設けていることと思いますが、今後は、廃止や減額などを検討する必要が出てくるかもしれません。社員の生活に直結する手当の見直しは、慎重な対応が求められます。

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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