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派遣労働者の受入のポイント

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風薫る5月、皆さんはいかがお過ごしですか、社会保険労務士法人あさひ合同事務所の竹田です。

爽やかな季節とは対照的に、国会での混乱、ハラスメント事件の頻発、アメフトでの危険行為などルールを無視した結果がマスコミの格好の餌食となり、鬱陶しさを覚える毎日です。ルールを守ることは、お互いの尊厳や人格を守るために必要なことですね。雇用に関するルールも適法に守らなければ、手痛いしっぺ返しを食うことになります。相変わらず、人手不足が続いていますが、派遣労働者を受け入れる企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、派遣労働者を受け入れる側から労働者派遣法について考えてみたいと思います。

 

派遣労働者の受入

派遣労働者を受け入れる事業者(以下、「派遣先」と呼びます。)は、基本的には一般労働者派遣業の許可を持っている又は特定労働者派遣業の届出をしている派遣業者から労働者を派遣してもらいます。特例労働者派遣業者は、今年の929日までそのまま営業できますが930日以降は、一般派遣業の許可を取得している派遣業者からのみ派遣労働者を受け入れることができます。

派遣労働者の受入は、派遣労働者との間に雇用契約を結ぶのではなく、派遣業者が派遣労働者と雇用契約を結び、派遣業者と派遣先は労働者派遣契約を結びます。これにより、派遣先は、派遣労働者を自社において労働させることができます。

つまり、派遣労働者の雇用主は、派遣業者であり、派遣先は雇用主ではありません。一般的に、派遣労働者を受入れるメリットには次のようなことがいわれています。

  • 雇用主ではないので直接雇用の従業員と比較して労務管理がしやすい
  • 採用、教育コストを削減できる
  • 即戦力として受け入れるため業務効率を上げやすい
  • 人員計画に柔軟に対応できる

派遣先企業にとっては、都合の良いことが多いようにみえますが、何か問題点はないのでしょうか。

 

派遣先に課せられる義務

派遣先企業は、派遣労働者の受け入れに当たり、次のような義務が課されます。

  • 自社の労働者の賃金水準の情報提供等を派遣元に対して行うこと
  • 自社の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合に、 派遣労働者にも同様に実施すること
  • 派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する一定の福利厚生施設の利用の機会を与えること

つまり、自社の賃金水準を派遣業者に開示し、派遣労働者に対しても教育訓練を実施し、福利厚生に関しても同様の待遇をする必要があります。今国会に提出されている働き方改革関連法案として労働者派遣法も改正案が提出されています。改正労働者派遣法案では、派遣労働者と同様の業務を行う正社員の賃金等を派遣業者に開示し、職務内容が同一であれば同水準の賃金を派遣労働者が受け取ることができるよう、つまり派遣料金がそのような設定になることを求めています。

このことは、2つの側面を持ちます。1つは、派遣料金が高額化する恐れがあること。もう1つは、派遣先企業の賃金水準を派遣業者に知られてしまうことです。派遣先企業としては、自社の賃金水準を教えるのは抵抗があるのではないでしょうか。

改正労働者派遣法案は、この賃金水準の開示をしない場合、派遣契約を締結してはならないこととしていますので、派遣先企業にとっては、悩ましい問題です。ただし、派遣業者が、労働者の過半数労働組合などと、一般的に妥当な賃金水準を定め、人事考課などにより能力に応じた処遇がなされる旨労使協定を締結している場合には、その派遣業者と派遣契約をする場合には、賃金水準の開示などを行わなくても良いとされます。

従って、派遣業者を選択する場合、その労使協定が締結されているかどうかを確認する必要があります。

労務管理に関しては、雇用主ではないので、基本的には、派遣労働者に対する労働基準法等の遵守が派遣先ではなく派遣業者に義務付けられますが、労働基準法や安全衛生法の一部は、派遣先企業にも雇用主と同様に遵守が義務付けられています。労働時間や休憩、休日、時間外労働などに関する規定は、派遣先事業主にも派遣労働者に対する義務として適用されます。

従って、派遣労働者に対しても、基本的には、自社の労働者と同様に適正な労務管理を行うことが求められます。

 

直接雇用の義務

派遣先は、派遣労働者を直接雇用していませんので、派遣契約期間が満了すれば、派遣労働者を受入れる必要はありません。しかし、労働者派遣法に違反している場合には、「労働契約申込みみなし制度」が適用されることがあります。これは、「派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣業者における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなすものです。

つまり、労働者派遣法違反した場合、派遣先は、派遣労働者を派遣会社と同様の条件で、直接雇用をしなければならないということです。

この見なし制度が適用されるのは、次のような違反をした場合です。

  1. 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
  2. 無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
  3. 期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
  4. いわゆる偽装請負の場合

社風に合わない、期待したほど能力が高くない、チームワークを乱すなど、自社で雇用することが困難な派遣労働者であっても、上記の4つのいずれかに該当する違反をした場合には、派遣先は、派遣労働者から直接雇用の申出があった場合には、必ず、雇用しなければなりません。

特に注意を要するのが、3.期間制限に違反して労働者を受入れた場合に該当するケースです。労働者派遣法では、事業場ごと又は派遣労働者ごとに派遣期間の制限が定められています。例えば、同一の派遣労働者を制限期間を超えて受け入れる場合、異なる組織単位で受け入れる場合は、制限期間を延長することができます。総務課で3年間受入れた派遣労働者をその後、営業課で3年受入れる場合などです。

ここで、違反とならいようにするために必ずやらなければならないことがあります。

それは、派遣先が、労働者の過半数労働組合などに派遣契約の継続について、意見を聴くことです。これを怠ると、3.の期間制限に違反することとなります。無用のトラブルに巻き込まれないよう、意見聴取をキチンとしておく必要があります。

 人手不足の折、派遣労働者に頼らざるを得ない状況に直面した時には、これらのことを念頭に置いておく必要があります。派遣労働者は、決して、景気の調整弁の役割として存在するのではなく、多様な働き方の1形態であり、今後も減少する労働力人口に対する就業機会の多様化に対応する働き方です。派遣労働者を自社の労働者と同様に、適切かつ大切に扱うことで、企業の生産性の向上や社会的評価の向上に結び付くこととなります。

皆さんの会社においても、派遣労働者に活躍の場を提供することを選択肢の1つに入れられるのも良いのではないでしょうか。

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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