こんにちは。有限会社オフィスパティ キャリアコンサルタント 大山佳子です。4月に入社した新入社員たちは、その後順調に会社に馴染んできているでしょうか?
皆さんは、6月に解禁される2019年卒学生向けの選考・面接に向け、準備に大忙しだと思います。新入社員教育が一段落し、新卒向け採用活動にエネルギーを割くこの時期は、社内の動きから少し目が離れがちです。
「新卒市場」の一段落したこの時期、人材業界は「転職市場」の活性化に力を注ぎます。そのため、潜在的な転職予備軍に向けた広告を、各社が競うように掲げています。転職を考え始めるきっかけは、自分への評価に対する「不満・不安・疑問」が主なものです。まもなくボーナス支給時期を迎えます。この時期だからこそ、貴重な人材が流出してしまわないように、しっかり対策をたてていきましょう。
社内の「転職予備軍」への意識を高めよう
若い世代にとって、転職へのハードルは「低い」と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、学生に将来の就職先への希望を聞くと、「定年まで働ける会社」との答えが一番です。
少なくとも、入社前は将来の「転職」を意識していることは少ないようです。しかし、実際に社会人になってからその意識は変わるようです。調査データで確認してみましょう。
パーソナルキャリアの調査によると、「転職に対して、ポジティブとネガティブのどちらの印象をより強く持つか」という質問に対して、ポジティブ印象が36.5% ネガティブ印象は23.5%(2016年 22歳~59歳のホワイトカラー系職種の男女への調査)と、ポジティブ印象がネガティブ印象を上回っています。さらに、また将来的にも「より一般的になると思う(55.7%)」という意見が「一般的になっていかないと思う(11.7%)」を大きく上回っており、今後さらに転職をすることが当たり前になっていくと考える人が多いようです。
「一般的になっていくと思う」と答えた人のコメントを見ると、理由は「個人に求められるものや雇用環境の変化により、転職が珍しくなくなる」「複数社での経験が当たり前になる」という意見が多くありました。
もちろん「転職」を意識すること自体が悪いわけではありません。よりよい条件を求めて、働く環境を選択したいと考えることは、全く自然なことです。しかし、コストをかけ育てた人材が、簡単に流失してしまうことは、企業にとっては大きな問題です。注意すべき事は、皆さんが思っている以上に、社内に「転職希望予備軍」が多いということを、きちんと意識する必要があるという事です。
「きっかけ」が「決意」に変わる理由を知ろう
転職者をサポートする人材支援会社は、多く存在しています。今の時期、街中にあふれる転職支援会社の広告は、転職予備軍にとって刺激的です。「転職のきっかけ」に関する調査結果」(2015年 パソナキャリア調査)によると、きっかけは、「評価への不満を感じたから」「人間関係」「勤務条件(休日や、勤務時間帯)があわなくなったから」といった、日々の業務の中で誰でも感じる、小さな不満です。
当初は小さな不満であっても、その頻度が増えるにしたがって、不満が改善されないと感じ、ちょっとした「きっかけ」が、具体的な転職活動への「決意」に変わっていくと考えられます。
残業時間削減を「不満」につなげない
「働き改革」では残業時間削減が大きく注目されています。本来は、仕事の効率を上げることが大きなテーマなのですが、わかりやすい目標として「残業時間削減」に取り組んでいる企業は多いのではないでしょうか。
若い世代には「残業削減」は自由な時間が増えることに繋がり、多くは歓迎されると考えがちですが、30代・40代の中堅子育て世代には、この残業削減が思わぬ不満につながっていることもあるようです。不満の理由は、残業削減による「年収ダウン」です。多くの企業が副業禁止のため、残業削減は、あてにしていた収入が減ることとなります。残業時間削減を打ち出す際は、業務量ではなく、業務の質で評価をする、評価基準を合わせて見直さないと、貴重な働き手の流失につながりかねません。
いかがでしょうか、新卒採用に目を奪われがちなこの時期だからこそ、社内人材の流失防止対策を怠ることのないようにしていきたいものです。具体的な対策についてまとめていきましょう。
1.ボーナスへの不安要素を軽減させよう
ボーナスは、評価が具体的な金額で表現されます。他人との比較が容易です。また、本人の頑張りが必ず企業実績とリンクしない場合もあります。わずかな金額差であっても、自己評価とのズレは不満につながりやすいものです。
ボーナス評価は、実績だけではなく、これからの本人への期待や企業実績の見通しを合わせて伝えましょう。不満への直接的な対策は難しいですが、将来不安への軽減にはつながるはずです。
2.勤務条件を柔軟に見直そう
中小企業にとって、給与条件を見直すことはなかなか難しいことです。しかし、中小企業だからこそ、社員に合わせた勤務条件を柔軟に見直すことは、大企業に比べ容易なはずです。皆に合うようにという考え方ではなく、この社員に合う条件はどんな勤務条件なのか、できるだけ個別社員対応意識を持ちましょう。
いかがでしたか?
これからも、必要な時期にマッチした有益情報を発信していきます。お楽しみに!