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多様な働き方に対応できる人事考課制度とは?

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気持も新たに新年を迎えましたが、既に1月も下旬となってしまいました。『時間は限られたもの』であることを実感しながら、如何に有意義に時間を使うかに取り組んでいます。

社会保険労務士法人あさひ合同事務所の竹田です、本年もよろしくお願いいたします。

政府の進める「働きかた改革」に企業として取り組むためには、多様な働き方を容認することが必要です。様々な従業員に対して適切な労務管理を行うためには、仕事の内容や責任、転勤などの異動についてその違いに応じた処遇をしなければなりません。また、その処遇を従業員に納得してもらうためには、適切な評価の仕組みが必要です。そこで、今回は、人事評価、特に人事考課制度について考えてみたいと思います。

 

人事考課制度

従来、日本の多くの企業では、従業員の能力を基準とした「職能資格等級制度」を採用していました。その後、「目標管理制度」に基づく成果主義が採用されるに至りました。更に、行き過ぎた成果主義に対する反省から、職務上の役割を基準とした「役割等級制度」を併用するなど、企業規模や業種の特性に合わせた人事考課制度が利用されています。

「人事考課」とは、「人事評価」の一種であり、評価の結果を賃金などの処遇に反映するものをいいます。人事考課を実施するに当たり、従業員から次のような点について不満が出ることが良くあります。

  • 自社の実態との整合性
  • 評価の公平性
  • 評価項目の内容及びその理解
  • 評価をする上司に対する信頼性
  • 評価後のフィードバック     など

これらは、「なぜ、人事考課を行うのか」「人事考課がどういう効果をもたらすのか」という目的と結果を企業が従業員に適切に伝え、理解させることを怠っていることが大きな原因と考えられます。これらの不満を防止するためには具体的にどうしたら良いでしょう。

 

従業員の不満を取り除くためには

まず、「自社の実態との整合性」について考えてみます。自社に合っていないということは、何を評価の対象とするのかが明確でないことが原因です。例えば、今後数年間の売上アップを目的として人事考課制度を導入したとします。そこでは、従業員それぞれが、どの様な行動をするのか、そのプロセスで何が必要なのかが重要になります。

それに対して、実態が、従業員の保有する能力を評価する仕組みになっているとすると、そこにギャップが生まれます。いくら高い能力を保有していても、具体的な行動に移さなければ、それは結果をもたらしません。また、あまり能力がなくても、積極的な行動により良い結果を生むこともあります。

この場合は、行動を評価することで、結果を出した従業員のモチベーションを向上させ、能力は高くとも行動に移さない従業員に対し、行動を起こさせる動機となります。「評価の公平性」については、評価基準に客観性が有るかどうかにかかわります。上司が自分の気に入った部下に対し良い評価を下す、これは必ずしも悪いことはありません。何故なら、上司は、自己の望む結果を出す部下を快く思うからです。しかし、評価の対象が、能力などの客観的な物差しが使いにくい場合には、恣意的な評価が行われる危険が高くなります。

要は、具体的な行動基準や結果など客観性のある評価基準を採用することが大切です。

「評価項目の内容及びその理解」は、評価者と被評価者をつなぐ重要な要素です。部下が上司から何を評価されるのかを理解していないと、評価をする上司との間に溝が生じることになります。部下が、一生懸命頑張って顧客獲得など一定の成果を挙げたとしても、会社が求めることは、新入社員の育成であるとすれば、その部下に対して、プラスの評価をすることはできません。

つまり、会社が望むことを評価項目として明確にし、従業員が常にそれを理解していなければ、上司との信頼関係の崩壊につながり、更に従業員のモチベーションをダウンさせることになりかねません。「評価をする上司に対する信頼性」は、評価を行う上司を信用できるかどうかということです。これには、二つの側面があります、一つは、上司の能力や人間性に対する不安に起因するものです。

  • 「無能だと思っている上司に自分を適正に評価できるはずはない。」
  • 「非常に優秀な上司からすれば、自分など取るに足りない者だから、良い評価は得られない。」
  • 「体育会系の上司は、同じようなタイプの部下を贔屓する。」

などです。もう一つの側面は、上司が部下を十分に観察していないことに起因するものです。

つまり、「上司は自分のことを何も見ていない、だから上司を信用できない。」ということです。この二つは、上司と部下のコミュニケーションを深めることで解決できます。この場合のコミュニケーションは、食事や飲み会などではなく、人事考課というツールを使ったコミュニケーションを指します。

部下の行動を常に観察し、評価すべき行動などに対して、タイムリーに褒めたり、コーチングのスキルを使って、部下に主体的に何をすべきか考えさせたりすることです。自分のことを気に掛けてくれる上司に対しては、部下は信頼を置くものです。

「評価後のフィードバック」は、先程の「評価をする上司に対する信頼性」の向上にもつながります。上司と部下のコミュニケーションが重要なことはすでに指摘しましたが、「評価後のフードバック」は、コミュニケーションをさらに深めるのに役に立ちます。「フィードバック」は、上司が部下の仕事に対して感じたこと、評価すべき点、改善すべき点を部下に伝え、部下が主体的に自己を振り返り、次のステップに活かすために行います。

人事考課を行った後、このフィードバックがないと何故その評価になったのか、何を改善すべきかを部下が知るチャンスがありません。フィードバックにより部下の成長を促すことができるわけです。上司が誠実にフィードバックを行うことで、部下は上司に対する信頼感を深め、より良い人間関係の構築に役立ちます。

 

人事考課を効率的に行うために

人事考課の目的は、最終的には、企業利益の向上ですが、その過程において、従業員の適材適所、能力開発、モチベーションアップなどが重要な目的となります。この目的を明らかにし、従業員に伝え、理解させることが、経営陣の義務です。そこで、まず、自社の「経営理念」を再確認してみましょう。

自社が何のためにこの社会に存在するのか、そしてそれを実現するためには、従業員にどんな人材になってもらいたいのかの人物像を明らかにします。社会に受け入れられ、社会に貢献できる企業こそが、永続企業として存在し、適正な利益を挙げられるからです。

「人事考課制度を導入したが、うまく機能していない。」という話をよく耳にします。なぜでしょうか?

多くの場合、制度の構築に重点を置きすぎ、実際に運用を始めてみたら、使いにくいものだからです。評価を行う時期は、1年に1回または2回程度というのが多いでしょう。また、評価対象が能力であったり行動であったりと混乱しているケースも多くあります。その他、業務の棚卸や責任の程度を適切に評価する職務分析を行わないために、実際の職務とは異なった評価項目を設けてしまうこともあります。

制度の構築は非常に重要ですが、人事考課制度を作っただけでは、意味がありません。目的を達成するために適切に運用されることが何よりも重要です。運用しやすいことを念頭に置いた制度設計が大切です。運用しやすい制度とするためには、評価をするタイミングをどう設定するかです。

半期や通期に1回とすると、考課者は、半年間又は1年間の記憶を呼び起こす必要があります。考課対象者がいつどういう実績を挙げたか、どんなプロセスがあったのかなど、過去の記憶をたどるのは大変なことです。また、考課対象者の数が多ければ多いほど、その作業は苦痛を伴います。更に、人間の記憶はあいまいな面があり、正確に評価できない恐れもあります。

それを避けるためには、評価するタイミングをもっと短期間にするのが良いでしょう。少なくとも4半期ごと、出来れば毎月実施するのをお勧めします。勿論、考課者は記憶のみではなく記録も頼りにしますが、やはり、出来るだけ直前の出来事を評価することが、正確な評価につながり、また、時間や労力の節約にもなります。

評価の対象が、評価の目的に合致していることも、運用しやすさにつながります。例えば、従業員の行動を評価し、その適性を基に適材適所を目的とするのであれば、評価対象は全てが行動でなければなりません。「~ができる」などの能力を対象とする評価項目が混在していると、考課者にとっては何をポイントに部下を観察すればよいのかが分からなくなり、評価の結果得られるものは、評価の目的に利用しにくくなります。

職務分析を通じた職務評価をせずに、評価項目を設定すると、実際に行わない業務に関する項目を評価項目としたり、本来、考課対象者にとっては不要な業務についてまで評価を行うこととなる恐れがあります。少なくとも、これらを十分考慮した上で、制度設計を行うことで、運用しやすさは格段に向上すると思います。

 

人事考課を有用なものとするためには、もちろん上記以外にも様々な工夫が必要です。あくまでも人事考課は最終的に、従業員の能力開発を通じた業績の向上にあることを忘れてはなりません。

従業員の成長無くして企業の成長は無いことを肝に銘じて、自社に合った人事考課制度を導入し、運用していく必要があります。

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

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