新年、あけましておめでとうございます。
有限会社オフィスパティ キャリアコンサルタント 大山佳子です。
年の初めは、「これから先のこと」を様々思いめぐらすには良い時期です。皆さんも、今年の目標をいくつかたてられたのではないでしょうか。
ところで、皆さんの会社では、「社内人材活用計画」を策定していますか?
実際、人事の皆さんが策定する計画は、「採用計画」のみという会社は多いようですから、え?それ以上、必要なことはあるのか?と、思われた方は多いかもしれません。
事業計画を実行するためには「人」が必要です。事業運営には重要な「人」なのですが、中長期的な視点での「社内人材活用計画」は、後回しになりがちな分野でもあります。今回は、「社内人材活用計画」について考えてみましょう。
「採用計画」だけでは足りない?
事業増強のための中途採用、事業維持のための新卒採用等、新しいメンバーを迎え入れる入口である「採用計画」は、恐らく皆さん毎年見直しながら策定しているはずです。特に新卒採用は、定着するまで気が抜けないため、「採用できたか出来なかったか」に気を取られ、中長期的な視点を持ちにくいものです。
今後、高齢社会が確実に近づいてきています。これからの事業維持のためには、「入口」だけを気にするだけでは、足らなくなっていきます。また、力を入れた成果である「定着化」が進めば、社内人材の活用も今以上に大きな課題となっていく可能性があるため、もっと幅広い視点が必要になります。
中堅社員層への人材開発計画
会社の年齢構成によって、多少の違いはありますが、35歳から50歳ぐらいまでが「中堅社員層」と言われている世代です。転職市場では、即戦力として重宝される世代のため、優秀な人材ほど「流失」の可能性も高くなります。また、たいていの仕事は問題なくこなせるスキルを身に着けているため、今後の展望が見えないと感じると、意欲低下につながりやすく、無気力社員になってしまう危険性もあります。
今年入社した新入社員の15年後が、この中堅社員層となります。新しい技術が導入され、仕事のすすめ方にも、変化が起こる可能性があります。中堅社員層には、改めて会社での活躍ポイントの確認・新たに身に着けるべきスキルを理解する機会が必要となってきます。
会社での活躍ポイントの確認
- これまでの業務を通じて培った業務上の強みの棚卸
- 会社の事業展開の理解
※社内業務を自ら“造る”意識を持つ「機会を作る」ことがポイント
新たに身に着けるべきスキル
- 対人マネジメントにおけるヒューマンスキル
- 新しい技術・知識スキル
※新たなスキル獲得への会社支援があることを「伝えること」がポイント
意欲を満たす業務分担
沢山のポジションがない中小企業にとって、「働く場所」に新鮮味を求めにくいという事情があります。そのため、任せる仕事内容に「新鮮味」が感じられるよう、コントロールしていく必要があります。手薄になりがちなこの中堅社員層に、どんな仕事を任せていくのか、経営層ともよく協議をしていく必要があります。
シニア社員予備層への人材開発計画
国が定めた、「65歳までの雇用機会の確保」に関しては、実は中小企業の方が進んでいて、特に製造業を中心に、高いスキルを持った社員が働き続けている例はたくさんあります。しかし、今後さらに高齢化が進み、年金支給開始年齢がさらに引き上げられるかもしれないことを考えると、シニア人材の活用は、今以上に進めていかざるを得ない状況となることが想定されます。健康状況や仕事への意欲など、個別性の高い条件もあるため、シニア人材の活用は一律に行うことは難しさがあります。シニアになってから・・・ではすでに遅いのです。
シニア予備層は50代の社員です。このシニア予備層に、「あと20年間」をどのように働いていくのか、社員個人にも真剣に考えてもらう必要があります。制度を整えることだけではなく、「まだまだ活躍できる年齢なのだ」と、社員に実感してもらうことこそが大切なことなのです。
シニア人材に関しては、こちらでセミナーをいたします。ご興味があればぜひお申し込みください。
今後10年間の人員構成を想定する
現在の社員構成のまま、10年間でどのように年齢構成に変化が起こるか、想定してみましょう。若い世代には、子育てなどのライフイベント。中堅社員層には、親の介護が必要となる社員も現れるかもしれません。現在の人事制度で、社員は働き続けることが出来そうでしょうか。足りない制度がないか、今の内に点検してみることは有効です。
今後、人手不足が進むと、今以上に幅広い年齢層への募集が必要となるでしょう。若手を育てるだけではなく、中堅層・シニア予備層にとっても「期待が持てる会社」であることが、必要なこととなります。
いかがでしたか?
人事計画は、どうしても事業計画の後追いになってしまいがちです。少し長いスパンで会社の状況を眺めてみることから、今取り組むべき課題が見えてくるかもしれませんね。
これからも、必要な時期にマッチした有益情報を発信していきます。お楽しみに!