名大社が伝える中小企業の採用担当者向けメディア
POWERED BY 名大社
求職者の方はこちら
求職者の方はこちら

企業の果たすべき労働災害の責任について

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

早いもので今年も残すところ後わずかとなりました。皆さんは、今年やり残したことはありませんか?こんにちは、社会保険労務士法人あさひ合同事務所の竹田です。

私は今、やり残し無く1年終えられるよう奮闘中です。さて、人手不足が深刻化していますが、そんな折、私の周りでは労災事故が増加しているように思います。企業には、労働者が安全かつ健康的に就労できる環境作りが求められています。企業の果たすべき責任と労災事故について考えたいと思います。

 

企業の責任

企業や事業主など使用者は、「職場における労働者の安全と健康を確保する」ことを労働安全衛生法により定められています。また、労働契約法においても、「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう配慮する」ことが求められています。

労働者が健康的にかつ安全に仕事ができる職場環境作りは、使用者の義務であることが明確に規定されているわけです。これを「安全配慮義務」と言います。労働災害(一般に労災事故といいます。)が発生した場合に、使用者は、労働基準法上の「災害補償」つまり「労働者の業務上の負傷や疾病に対し、必要な療養や休業補償などを使用者の負担において行なう」義務を負います。

労働災害には、労災保険が適用され、労災保険の給付の範囲において使用者はその義務を免れます。しかし、「安全配慮義務」を適切に果たしていなかった場合などは、「災害補償」のみならず、民事上の賠償責任や刑事上の責任などを負わなければならないこともあります。

 

労働災害とは

労働災害とは、「業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等」と労災保険法に定められています。労働災害であるかどうかは、まず第1に、「労働者」であるかどうかで判断されます。

例えば、採用内定者の入社前研修や学生のインターンシップでの実習も場合によっては学生を「労働者」と判断することがあります。「労働者」と判断する要件として、使用者の指揮命令下にあるなど使用従属関係があることが挙げられます。たとえ、インターンシップの学生であったとしても、単なる体験ではなく、業務の一部を上司の指揮命令下において行うのであれば、使用従属関係があることとなり、「労働者」に該当します。

「労働者」である以上、労働災害の対象となり、更に最低賃金法が適用され、最低賃金以上の賃金を支払う義務も発生します。「労働者」としての要件を満たすと、次は「業務上」かどうかが問題となります。「業務上」の判断は、「業務遂行性」及び「業務起因性」があるかどうかによります。

仕事中は勿論、業務遂行中ですから「業務上」ですが、場合によっては、休憩時間中や社内運動会、懇親会などの宴会中も「業務上」とされることがあります。休憩時間中は、自由時間ですので「業務遂行性」はありませんが、休憩時間中に社内や会社の敷地内でケガをするなど、会社の施設やその管理が原因でケガをしたと認められる場合は、「業務起因性」有りとされ、「業務上」と判断されます。このように「業務遂行性」や「業務起因性」のある災害を「業務上災害」といいます。

 

通勤や帰宅途中

通勤や帰宅途中の事故なども、原則として、労働災害となります。「業務上災害」に対して「通勤災害」といいます。「通勤災害」は、おおまかに言うと、就業のため自宅などの住居と会社などの就業場所の間の移動時に起こったケガや病気などを指します。

「通勤災害」かどうかは、「就業に関し」「合理的な経路及び方法」「逸脱・中断」などがキーワードになります。「就業に関し」とは、自宅と会社の往復の移動が就業と直接に関連していることを言います。例えば、終業後、同僚と一杯飲んでから帰宅する場合などは、会社と自宅間の移動が直接就業に関連していないので、「通勤災害」とは認めらません。

終業後、社内に残って同僚と2時間30分ほど雑談をしてから帰宅した場合も、「就業に関し」の観点から、直接の関連性が失われ、「通勤災害」とされません。「就業に関し」直接の関連性を失うと判断されるのは、おおむね2時間を超えた場合とされています。

「合理的な経路及び方法」は、「一般に労働者が利用すると認められる経路及び方法」と解釈されますので、必ずしも、会社に届出た経路又は方法に限るわけではありません。例えば、公共交通機関を利用する場合で、複数の経路がある場合は、大幅に迂回をするなどの特別な事情のない限り、「合理的な経路」とされます。また、電車通勤の届出をしていたにもかかわらず、マイカーで通勤した場合なども同様です。

少し厄介なのが、「中断・逸脱」に関する取扱です。通勤途上において、経路をそれたりした場合(「中断・逸脱」と言います。)、「通勤災害」とされるのかということです。行政の考え方としては、「日常生活上必要な行為でやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」であれば、経路をそれたのちに、元の経路に戻ってからは、通勤途上であるとしています。

スーパーで日用品の買い物をしたり、病院で治療を受けたりすることが該当します。

つまり、スーパーに寄ったり病院に行っている間は、「中断・逸脱」中であり、通勤途上ではないので、この間にケガなどをした場合には、「通勤災害」とされませんが、スーパーや病院を出てから元の通勤経路に戻って帰宅途中にある場合には、通勤途上なので、この時のケガなどは「通勤災害」とされます。

これに対し、帰宅途中に誰かと待ち合わせてデートをした後、帰宅途中にけがをした場合などは、「中断・逸脱」後に元の経路に戻っても、通勤途上とはされません。デートは、「日常生活上必要な最小限度の行為」とはみなされないからです。

 

労働災害が起こったら

労働災害が発生した場合には、次のように適切な対応が必要です。「業務上災害」が発生したときは、まず第1に、被災労働者の救護、応急手当です。大切なのは、慌てず冷静に対応することです。慌ててしまい、救護に当たる者が、二次災害を起さないためです。それから、病院等に被災者を搬送します。必要であれば、被災労働者の家族に連絡を取ります。

病院では、「業務上災害」である旨を伝え、労災保険を適用します。使用者は、被災労働者が治療等を受けるのに必要な「療養補償給付たる療養の給付請求書」(通称、様式5号)を作成し、病院経由で労働基準監督署長に提出します。ケガ等で休業しなければならない場合には、「休業補償給付支給請求書」(通称、様式8号)を作成し、医師の証明を受けた上で、労働基準監督署長に提出します。

その上で、「労働者死傷病報告」を労働基準監督署長に届出します。使用者が、故意または過失により「労働者私傷病報告」を届出ない場合は、「労災隠し」として、安全衛生法に違反することとなり、罰則が適用されるので注意しましょう。通勤災害の場合には、労働者が事故等の状況を会社に報告し、「業務上災害」と同様に、治療等を受けるための「療養給付たる療養の給付請求書」(通称、様式16号の3)、休業の必要がある場合は、「休業給付支給請求書」(通称、第16棒の6)を同様に作成、提出します。

なお、労働災害発生から3日間は、労災保険の休業補償の対象となりませんので、「業務上災害」の場合には、使用者である会社等は、その3日間の賃金(平均賃金の60%以上)を休業補償として労働者に対して支給しなければなりません。

 

労働災害を防止するために

労働災害は、就業中のケガや通勤途上の交通事故が多いですが、その他にも、長時間労働による脳・心疾患、長時間労働やハラスメントなどによるうつ病をはじめとする精神疾患などがあります。安全で清潔な職場環境を整えることは当然のことですが、健康的な職場環境を整えることも、脳、心疾患や精神疾患を予防するのに必要不可欠です。

生産性の向上と併せて、業務の見直しや人員の適正配置などにより、長時間労働を抑制することは早急に取り組むべき課題です。また、ハラスメントを防止するためには、従業員教育を定期的に行い、意識改革を図る必要があります。

企業トップが率先して、生産性の向上や社員教育に関するメッセージを発信し、全社的に取り組むことが重要です。労働災害防止の取組は、企業の責任であると同時に、生産性の向上を通した収益アップにもつながります。

最近では「健康経営」が企業収益にプラスの効果があると言われています。労働者の健康に配慮した職場作りにも積極的に取り組むことをお勧めします。

ライター紹介

竹田 紀子

http://www.asahi-support.jp/

社会保険労務士法人 あさひ合同事務所
特定社会保険労務士
大手ホテル系レストランで、人事・労務に従事。
社会保険労務士資格取得後は、社会保険労務士事務所に勤務し経験を積む。
その後、愛知労働局 総合労働相談コーナーにて労働相談員として労働相談を受け、企業側、労働者側双方からの数多くの事例に労務管理のプロとして対応してきた。
現在の事務所に入所後は、顧問先の様々な問題に対するアドバイスを精力的に行っている。

関連記事

給与における各種手当の今後の動向

給与における各種手当の今後の動向

外国人の雇用について注意すべきポイントとは?

外国人の雇用について注意すべきポイントとは?

派遣労働者の受入のポイント

派遣労働者の受入のポイント

ジモト採用のことなら名大社にご相談ください

採用でお困りでしたら私たちがサポートに伺います

弊社は創業以来クライアント数延べ3,000社、東海エリアのジモト企業と求職者の数々の出会いの場を創出してきました。

ジモトに根ざした名大社だからこそわかる個社の魅力を発見し、求職者に誠実に伝えていく為、全力でサポートさせて頂きます。