後編:面接で採用すべき人材を見抜くコミュニケーションとは?
こんにちは。採用から定着まで企業の成長を支援する株式会社アールナインの小松です。
売り手市場と言われる今の中途採用市場でも、他の職種に比べて求人倍率が突出しているのが技術系職種です。
4~7倍という求人倍率のなか、自社で採用すべき人材を見極めるためのコツとして、前編では、本当に必要なのはどんな要素なのか、「必須条件」と「尚可条件」にわけて、採用要件を見直すことについてお話をさせていただきました。
採用要件を見直し、方向性が決まったら、次は面接のこのようなコミュニケーションで、採用すべき人材を見極めていきましょう。
「なぜ転職するのか?」「なぜ応募したのか?」を深く掘り下げて論理的思考を確認する
これはどの職種にも共通することではありますが、「なぜ転職をするのか?」という転職理由と、「なぜ応募したのか?」という志望動機は
- 「どうしてそう考えたのですか?」
- 「例えば具体的にはどういうことなのか?」
などの質問で深く掘り下げ、自分の状況や考えが論理的に整理できているかどうかを確認していきましょう。
「経験重視採用」であれば、その転職理由のなかで、「前職ではなく、どうして自社なのか」その理由を、「ポテンシャル採用」であれば、「なぜ今までの仕事ではなく、この仕事がやりたいのか」が特に聞きだしたいポイントです。
理路整然と説明できるような人材は少ないかもしれませんが、たとえ表現は拙くても筋の通った思いがあるかどうかを、質問をしながら見つけてみてください。
「経験重視採用」ならば現場の責任者にその技術レベルを確認してもらう
経験者であれば、自分が携わってきた開発や技術に関することを他人にわかりやすく伝えることができるかどうかは重要ですが、「技術は高いけれど説明が苦手」という根っからの職人気質の技術者もいます。
しかしここで、「うまく説明できない=経験が足りない」と判断してしまうのは、非常にもったいないことです。
採用すべき人材を見逃してしまう機会喪失を防ぐためにも、「経験重視採用」であるならば、配属先の技術責任者など技術系の質問ができる人に面接に同席してもらい、必要とする技術について質問をしてもらいながら、応募者の経験レベルを確かめられるようにしておきましょう。
「他の人からどんな人だと言われますか?」を確認して人物タイプを確認する
また、「ポテンシャル採用」であれば、「前職の職場やお客様からは、どんな人だと言われますか?」と、他者からの評価を確認するのも見極めの参考になります。
この質問の答えには、前職での仕事ぶりに対する他者からの評価だけではなく、その応募者が周囲とどのように関わってきたかを垣間見ることができます。
たとえば、このように質問されて「そうですね・・・、ちょっと思いつかないんですけれど…」と言葉を詰まらせてしまうような場合は、もしかしたら他者との関わりの薄い働き方をしてきたため、特に他者から何かコメントされることがなかった可能性があります。
ここで面接の印象とは異なる評価が出てきた場合には、「ではプライベートの友人からはいかがですか?」と聞いてみるのもおすすめです。
そしてここで他者からの評価が、自社が求める人物像と一致しているのであれば、その応募者は採用を前向きに検討すべき人材と言えるでしょう。
いいなと思える人材なら面接の後半は口説いて反応を見る
もし面接での様々なコミュニケーションから、「ぜひ採用したい」と思えた人材であれば、面接の後半は自社に入社するメリットをPRして、その反応をみてみましょう。
事業理念や製品(サービス)に対する思い、人材に対する思い、自社の開発の特徴や自社ならではのよさや強み、入社後にどんなキャリア形成ができるかなどを伝え、応募者の表情、視線の動きなどから、どれくらい熱心に話を聞いているか確認してみてください。
「経験重視採用」も「ポテンシャル採用」も、入社後に前向きに仕事に取り組んで、早期に戦となってくれるかどうかは、最終的には応募者の意欲が決め手になります。
だからこそ、口先だけでない意欲が、「話を聞く姿勢」という非言語コミュニケーションにも表れているかしっかり確かめておきましょう。さらに
- 入社後にどんな仕事をしてもらうか。
- ポテンシャル採用であればどのように育てていくプランがあるか。
- 入社後どのような成長(キャリア形成)ができるか。
などの情報に対し、「〇〇とはどういうことですか?」「××(仕事に関すること)はできますか?」など、より具体的に確認する質問が自然に出てくるようであれば、応募者の意欲はより信頼できるものだと思います。
転職回数、離職期間などは丁寧に確認を
求人倍率が高く、応募者を集めるのも難しい今の状況では、「少ない応募者の中から誰かを選ばなければならない」という状況もあるでしょう。
そのような場合は「どうしても採用してはいけない人」を見極め、それに当てはまらない人を採用するという消極的判断が必要になってくるかもしれません。この見極めで見切り条件になってくるのが、転職回数の多さや離職期間の長さではないでしょうか。
いくら売り手市場とはいえ、あまりにも転職回数の多い人材や、離職期間の長い人材を採用するのは確かにリスクがあります。ただ、中には相応の理由があったり、やむを得ない事情があったりして、「そういう事情なら仕方ない」「今度は頑張ってくれるかもしれない」と思える可能性があります。
転職回数の多い人材や離職期間の多い人材も、書類だけで判断せず、まずは会って、話を聞いて詳しく状況を確かめてみれば、採用すべき人に出会えるかもしれません。
これだけ求人倍率が高い今の状況では、求める条件にぴったり!という応募者に出会うのは奇跡のようなものです。だからこそ、丁寧なコミュニケーションで応募者のことを理解し、本当に採用すべき条件を備えた人材は誰なのかを見極めていきましょう。