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女性が結婚後も働き続けられる職場環境づくりを考える【3】

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第3回 「仏作って魂入れず」にならないための「制度より風土」

こんにちは。採用と人材育成のコンサルティングを行う株式会社アールナインの小松です。

第2回でご紹介したように、女性が結婚してからも働き続けられる育児休暇や時短勤務、子の看護休暇などの制度は中小企業でも年々導入が進んでいます。しかし、「仏作って魂入れず」ではないですが、制度自体はあっても現実の運用がうまくいっていないこともあります。

今回は会社に制度があったにも関わらず退職せざるをえなかった女性の事例をもとに、女性が結婚後も働き続ける職場環境づくりに最も大切なポイントを考えてみたいと思います。

 

「育休制度はあるけれど…」退職を選んだSさんの話

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地方で求人情報などのフリーペーパーや各企業の販促物などを制作する中小企業で、営業職をしていたSさん。もともと話好きで面倒見がよい彼女は、同僚からもお客様からも頼りにされ、時には深夜まで残業するような忙しい日々を送っていました。

それでもやりがいを感じていた彼女は、子どもが生まれてからもこの仕事を続けたいと考えていたのです。

やがて妊娠したSさんは、妊娠中も今までと同じように業務をこなしながら、育休後も職場に復帰するつもりで社長に今後について相談しました。しかし、社長の反応はSさんにとってあまりにもショッキングでした。

「1年の育休で復帰するつもりだったのですが、今までと同じ仕事なのに時短勤務中は様々な手当がカットされて、給与が今までの半分くらいになってしまうといわれました。時短勤務が戻ったら元の待遇に戻れるか聞いたら、まだわからないと…。これ辞めろってことですかね。とにかく仕事を続けるのがよく思われてないのが、よくわかりました」

もちろん、Sさんの会社でも制度上はきちんと規定されている育休制度と時短勤務制度。

しかし、時短勤務を経てフルタイムに復帰した女性社員の前例もなく、社長から「子どもを産んでもぜひ続けてほしい」「がんばってほしい」という気持ちも全く感じなかったSさんは、ある程度の年収ダウンは許容するつもりでいたにも関わらず、「周囲の理解がなければ、仕事は続けられない」と退職を決意しました。

Sさんの会社では、彼女よりも少し早く妊娠・出産した女性の先輩も、そしてSさんの数年後に子どもを授かった後輩も、やはりSさんと同様の決断をしたそうです。

 

「制度」はあっても「風土」がまだ追いつかない現場

育休や時短勤務の「制度」はあるけれど、それを利用する社員を受け入れ、応援する「風土」ができていない。

Sさんの事例は決して「稀な事例」ではなく、妊娠したら仕事を辞めるように勧められる、あるいは暗黙の了解のように退職するという「風土」になっているということも少なくありません。

データをみてみると、厚生労働省の発表では、妊娠や出産を理由に不利益な取り扱いをする「マタニティー・ハラスメント」などについて全国の労働局に寄せられた労働者からの相談件数は、4762件と2年連続で過去最多を更新しています。

全体の相談件数が前年比12.2%で減少しているのに比べ、婚姻や妊娠・出産を理由に不当な扱いを受けたことに関する相談は17.7%増加し、育児休業で不利益な扱いを受けたことに関する相談は20.8%も増加しました。

育児休暇や時短勤務は、平成22年から施行されている育児・介護休業法で定められていますので、前回記事でも紹介したように多くの企業で導入が進んでいます。

しかし制度はできても、その制度を利用し、子育てしながら時間をやりくりして働く女性を応援しようという風土はまだ育っていないのが、残念ながら今の現状といえそうです。

 

「子育てしながら働く女性」を応援する心の準備を

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このように結婚し、子どもを持った女性が働きやすい職場環境をつくるには、制度だけでなく「子育てしながら働く女性」を応援する「風土の醸成」が欠かせません。

しかし、この「風土の醸成」は制度をつくることよりも難しく、「子育てしながら働く女性を応援する」意識をつくるのは、なかなか簡単なことではありません。

このテーマの第1回のコラムでも紹介したように、内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書」(平成27年版)によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考えに対して「賛成」「どちらかといえば賛成」と答える人の割合は、男性で46.5%、女性でも43.2%(2014)と過半数近くになり、この割合は2009年と比べて増えています

こうした意識があるからこそ、「結婚しても女性が働きやすい職場に」という建前には理解を示し、賛成していても、自分の職場でいざその問題に直面すると、

  • 「子どもがいるんだから、そんなに働かなくても」
  • 「子どもが小さいうちは、母親がそばにいないとかわいそうだ」
  • 「子どもが小さいうちは、すぐに休んだり早退したりで業務にならず、周囲が迷惑だ」

という感情が渦巻き、「総論OK、各論反対」のような状況になってしまうのでしょう。

しかし、この状況をそのままにしておくわけにもいきません。人の意識を変えるのは簡単なことではありませんが、まずは人事から率先して応援する姿勢を示し、環境を整えることで少しずつ現場も変わっていくかもしれません。

次回第4回では、この先にどんな環境を整えれば結婚し出産した女性の活用が進むのか、をまとめてみたいと思います。

ライター紹介

小松 紀子

http://r09.jp/

株式会社アールナイン
一般社団法人国際キャリア・コンサルティング協会
1997年国際基督教大学教養学部卒業。

大手人材紹介会社で人事、経営企画、キャリアアドバイザーを経験。在職中、転職希望者へのサービス向上プロジェクトや、ナレッジマネジメントプロジェクトなど多くの全社プロジェクトに参画する

現在は株式会社アールナインの広報及び一般社団法人国際キャリア・コンサルティング協会の広報を担当しながら、中小企業への就職・転職促進を目的とした情報サイト「信州人キャリアナビ」にて数多くの経営者・キャリアインタビューを通じ、地方中小企業の情報発信、採用支援を手掛けている。

アールナイン:http://r09.jp
国際キャリア・コンサルティング協会:http://icca-japan.or.jp

株式会社アールナイン

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