こんにちは。採用と人材育成のコンサルティングを行う株式会社アールナインの小松です。
夏の暑さが真っ盛りな毎日が続きますが、中途採用市場でも求人意欲が真っ盛りです。転職サイト「DODA」を運営する株式会社インテリジェンスの「転職求人倍率レポート」によると、2016年7月の求人数は20ヶ月連続で上昇。転職希望者数も11ヶ月連続で上昇するという活況ぶりとなりました。
このように企業の中途採用意欲が旺盛になると、就職活動の頃に不採用になった企業や本当はやりたかった仕事に就くためにリベンジ転職を目指す20代が増えてきます。
- 若手社員はなぜリベンジ転職を考えるのか。
- そもそもリベンジ転職は可能なのか。
- リベンジ転職の風潮は中小企業の人事担当にはどんな影響があるのか。
今日はこのリベンジ転職をテーマにまとめてみたいと思います。
就職活動では叶わなかったあの企業、あの仕事へ…
リベンジ転職する若手社員の心境
「若手社員の4割以上が、今の会社に決めたことを後悔している」
このような衝撃的な調査結果を発表したのが、20代向けの転職サイト「キャリアトレック」を運営する株式会社ビズリーチです。
「入社を後悔している人が4割以上」といっても、そもそも同社が運営する転職サイトの会員(転職したいと思って活動をしている人)を対象にした調査なので、一般的にはそんなに後悔している社員ばかりではないでしょう。
ただ割合はともかくとしても、その後悔の理由は若手社員がリベンジ転職をする心境を理解するのにとても参考になります。
【今の会社に決めたことを後悔している理由】
1位:やりたいことが明確にならないまま就職活動を進め、入社を決めてしまった(51%)
2位:業界や企業研究が十分でなく、入社後にギャップが応じた(50%)
3位:最初に内定が出たという理由で入社してしまった(37%)
4位:入社したい企業が不採用だったため(27%)
5位:将来のキャリア像を描けないまま、周りの意見に流されて入社してしまった (20%)
4位の「入社したい企業が不採用だった」という理由を除けば、いずれも就職活動という決められた期間に、十分考えずに入社を決めてしまったけれど、いざ仕事を始めてみたら自分の思いが他の企業や仕事にあることに気づいてしまったという状況であることがわかります。
こうした心境から、転職市場が活況な今のうちに本当に入りたかった企業、やりたかった仕事へ転職しようというのが、若手社員がリンジ転職を目指す理由なのです。
そもそもリベンジ転職は可能なのか?
「リベンジ転職」とは、新卒入社時に希望する企業や業界に就職できなかった社会人が、意中の仕事やより働きがいのある企業に再チャレンジしようと、転職活動にいそしむことをいう造語です。特に、就職活動時に就職できなかった大手企業へ第二新卒や若手採用枠で転職を目指すことが一般的です。
就職活動で不採用になっているのに、そんなことが可能なのかというと実際に多くの若手社会人がリベンジ転職を実現しています。
中には新卒採用で落ちた超大手企業に、社会人として積んできた経験が評価されて中小・中堅企業からリベンジ転職をする例も少なくありません。
特にリーマンショックや東日本大震災の影響で企業が採用を絞り込み、就職氷河期だった時代に就職した2010年~2013年卒の社会人は、「売り手市場の今こそ」という思いがあると言われています。
当時採用を絞り込んだ大手企業も、社内の年齢構成を整えるために、将来的に労働人口の減少が見込まれる中、若手人材を今のうちに確保するためにも、業績好調な今のうちに若手人材を採用しておきたいという思いがあります。
こうした企業と個人のニーズがマッチし、リベンジ転職を叶えているのです。
リベンジ転職が中小企業に与える影響とは?
ではこのリベンジ転職の風潮が中小企業にどんな影響をもたらすかを考えてみたいと思います。
まず1番気がかりな影響は、採用面というよりも若手社員の人材流出です。
大手企業の中途採用意欲が高い今、自社の社員がリベンジ転職を考えていても不思議ではありません。若手社員の仕事の状況や職場環境、キャリア形成など、人材活用・育成の面から若手社員にとって不満がうまれるような要素はないか、一度確認してみましょう。
有望な社員には、責任のある仕事を任せる、ポジションを与えるなど、自社でやりがいや成長を感じてもらえるような環境づくりも大切です。
中途採用では、大手企業の採用意欲が盛んな時期は、中小企業にとっては応募集団の形成が難しくなる時期でもあります。一般的にリベンジ転職は大手企業への転職を指しますが、多くの転職希望者が動く時期だからこそ、「(リベンジ転職で)自分のやりたいこと、働きたい環境を真剣に考えた結果、御社で○○がやりたいと思っています」という人材に出会える可能性もあります。
リベンジ転職する人材は、就職活動の後悔と反省から「自分が本当にやりたいことは何か」「どんな環境で働きたいのか」を真剣に考えています。
そのような人材が「ここに自分のやりたいことがある」とわかるよう、自社に入社すれば何ができるのか、どんなメリットがあるのかなど、転職希望者によりわかりやすい情報発信をしていきましょう。